税制優遇措置が撤廃によりエネルギーコストの上昇を含むさまざまな影響が生じる可能性
インフレ削減法は、連邦政府の資金提供と税制優遇措置を拡充し、クリーンで手頃な価格の信頼性の高いエネルギーへの投資を促進しました。この法律は、民間投資を活用してクリーンエネルギーインフラを整備することを目的としており、再生可能エネルギーの発電施設の開発から、住宅や建物の新築・改修まで幅広い分野を支援しています。
これらのインセンティブにより、経済活動が活性化し、地域の雇用が創出されるとともに、エネルギーの価格が抑えられ、サステイナビリティとレジリエンスが向上しています。もしこの税制優遇措置が撤廃されれば、エネルギーコストの上昇やクリーンエネルギー投資の減少が懸念されます。
現在、トランプ政権と議会指導部が大規模な税制改革を進めようとしている中、インフレ削減法によって拡充されたクリーンエネルギーおよびエネルギー効率向上のための税制優遇措置が、その本来の効果が十分に発揮される前に撤廃される危機に直面しています。
影響
エネルギー・イノベーションによる新たな分析によると、インフレ削減法のクリーンエネルギー税額控除と資金提供が撤廃されると、2030年までに米国の国内総生産(GDP)が1,600億ドル以上減少し、79万件の雇用が失われると予測されています。また、2025年から2035年の間に家庭のエネルギーコストが320億ドル増加する可能性があります。これらの重要なインセンティブを廃止することは、米国の進歩を多方面で後退させる可能性があります。
この分析では、撤廃により米国の平均的な家庭の年間エネルギー料金が2030年には48ドル、2035年には68ドル上昇すると予測されています。さらに、撤廃後も家庭のエネルギーコストは上昇し続けると見込まれています。
この報告書はIRAの一部の条項、特にクリーンエネルギー発電に関する条項に焦点を当てているため、実際の影響はさらに大きい可能性があります。エネルギー効率の低下や分散型エネルギー、需要サイドへの投資の減少による影響は考慮されていないため、撤廃の影響は過小評価されている可能性があります。
インフレ削減法によって拡充された建築関連の主要な税制優遇措置は、建物のエネルギー効率向上や太陽光、熱エネルギー、バッテリー蓄電、EV充電設備などの分散型エネルギー資源導入を促進し、民間投資を活性化させています。これらのインセンティブは、全米の地域社会で新たな、より影響力のある建築プロジェクトを支援し、消費者、労働市場、米国のエネルギー安全保障に重要な利益をもたらしています。
建築関連のインセンティブは分散型であるため、追跡が難しいものの、これらの優遇措置が撤廃されれば、エネルギー価格の安定性がさらに損なわれ、経済に悪影響を及ぼし、さらなる雇用喪失を招くことが懸念されています。
USGBC articles 原文(2025.4.15)
https://www.usgbc.org/articles/repealing-clean-energy-tax-incentives-would-hurt-economy