
米国の公立学校は、年間約900億ドルという巨額のインフラ投資不足に直面している。これは、学校施設を通常の運用状態に保つために必要な資金との差であり、10万以上の学校が広範に老朽化している現状を示している。
IWBIのウェブキャスト「900億ドルの学校インフラギャップを埋める」では、この慢性的な投資不足が、5,000万人の生徒と600万人の教育関係者に影響する公衆衛生上の危機を引き起こしている可能性が議論された。
議論は、長年にわたる構造的問題を背景に進められた。多くの学校は1970年代以前に建設され、当時はアスベストや鉛が一般的に使用されていた。現在、平均的な学校は築40年以上であり、100年近い建物も存在する。本来、エネルギー、水、HVAC、ろ過、配管などの基準は20年程度で更新されるべきだが、多くの施設はそれを大きく超えて使用されている。
連邦政府の学校への資本支出はわずか3%にとどまり、年間支出は生徒1人あたり約3,000ドル、床面積あたり416ドルに過ぎない。この水準では部分的な修繕にとどまり、現代のニーズに対応することは困難である。
健康への悪影響の認識(Acknowledging the Adverse Health Consequences)
米国では子どもの12人に1人が喘息を抱えており、年間1,380万日の欠席につながっている。これは入院原因の上位であり、慢性的な欠席の最大要因でもある。
さらに、学校環境に起因する見過ごされがちな影響も指摘された。教室内の二酸化炭素濃度の上昇は認知能力を最大20%低下させる可能性がある。高温や汚染は行動に影響し、問題行動や停学の増加につながる。また、不適切な照明は概日リズムを乱し、睡眠や意欲の低下を引き起こす。
これらはしばしば怠慢や家庭環境の問題と誤解されるが、実際には環境要因である可能性が高い。
学校インフラ改善の障壁として、資金不足に加え、政府内の連携不足が挙げられる。教育省、エネルギー省、環境保護庁などにまたがる問題でありながら、全体を統括する主体が存在しない。
有効な解決策の探求(Exploring a Suite of Powerful Solutions)
解決策としては、官民連携が注目されている。エネルギーサービス企業との契約(ESPC)は、省エネによるコスト削減を原資として改修を行う仕組みであり、税負担なしで大規模な改善が可能となる。
また、「Rebuild America’s Schools Act」では1,300億ドルの投資が提案されている。
さらに、運用改善を支援するプログラムの拡充や、室内空気質の常時モニタリングなどの技術活用も重要である。これにより、設備の不具合や環境悪化を早期に検知し対応することができる。
同時に、保護者や市民の理解と関与も不可欠であり、政策への働きかけが求められる。
学校への投資不足は、子どもたちの成長環境そのものを損なっている。植物が枯れるときに植物を責めるのではなく環境を見直すべきであるように、子どもではなく環境に目を向ける必要がある。子どもたちが健全に成長できるよう、学校を重要な社会インフラとして適切に整備することが求められている。
IWBI記事 原文(2026年3月12日)
https://resources.wellcertified.com/articles/state-of-our-schools-an-overlooked-health-crisis/

