
プロジェクト概要
プロジェクト名:赤坂インターシティAIR
都市:東京
認証システム:LEED O+M Operations & Maintenance v4.1
認証取得日:2025年7月22日
認証レベル:Platinum
インタビューを受けた人:納章太 日鉄興和不動産株式会社
都市事業本部 運営技術部 運営管理第一グループ
兼 企画本部 経営企画部 サステナビリティ推進室
グループリーダー
インタビューした人: 幸田淳貴 GBJ運営委員
幸田:赤坂インターシティAIRの概要・特徴を教えてください。
納:本施設は再開発事業により2017年8月に竣工した大規模複合用途の建物です。「働く人、住む人、訪れる人、誰もが安心で快適に過ごせるまちづくり」をコンセプトとして誕生しました。
幸田:非常に大規模な施設ですね。複合施設における運営についていかがでしょう。
納:複合施設であるため、オフィス、住宅、商業施設、コンファレンスなど多様な用途で構成されています。用途ごとに建物利用者のニーズや運営ルールが異なるため、エネルギー管理、清掃、セキュリティといった基準を統一・維持することが非常に難しいと感じています。利用者ごとのニーズを尊重しつつ、全体最適を図る努力が重要であると感じています。

幸田:運営におけるエネルギー管理について教えてください。
納:竣工以来、協力会社を含めたエネルギー管理体制を構築し、メンバーで毎月定例会議を実施しています。エネルギー効率化のために何ができるか日々検討して取り組んでいます。主に空調や照明の最適制御などに注力しています。

幸田:LEED認証をしようと思ったきっかけを教えてください。
納:本施設の立地的に外資系企業が多いエリアであるため、グローバル基準を重視するテナント様の要望が増えてきたことが大きなきっかけです。
また、都心部では大規模オフィスの供給が増加しており、競争が激化しています。その中で「選ばれ続けるビル」を目指し、省エネ、ウェルネス、サステナビリティといった観点で差別化を図るため、国際的な認証であるLEEDを選択しました。
幸田:国際認証ということで、コスト面や設備面で難しい所があるかと思うのですが、取得決定の決め手について教えてください。
納:LEEDは世界的に認知度が高く、環境性能を客観的に評価できる点が魅力です。今回はO+Mのため運用段階での評価ができ、我々の運営管理の取り組みを効果的に発信できる点が決め手になりました。
幸田:大きなコストをかけても取り組むべきだという判断でしょうか。
納:はい、非常に大きなコストがかかり、改修工事も必要で、その調整には大きなハードルがありました。
しかし、環境面と長期的な経済性の両立が期待でき、未来への先行投資として取り組む価値があると判断しました。
幸田:実際に認証取得していくためには、コンサルティング会社に依頼してやっていく事が一般的ですが、コンサルティング会社の選定方法について教えてください。
納:複数候補がありましたが、LEED認証の実績と専門知識に加え、現場に寄り添い、同じ目線で課題を共有し、共に解決していただけるようなパートナー的な存在というところを重要視して選ばせていただきました。
幸田:コンサルティング会社と協働していく中で、大変だった点や苦労した点を教えてください。
納:海外認証であるため、日本とは基準や考え方が異なる部分が多くありました。また、認証取得の要件が非常に細かく、必要な運用データ、改修工事計画、現場調整などに大きな時間を要した点が苦労しました。
幸田:LEED O+M、既存ビルの環境パフォーマンス評価にて、エネルギーや水・廃棄物のところで点数の差が出ます。工夫された点など教えてください。
納:先述のエネルギー管理体制の定例会議でエネルギー効率改善に徹底的に取り組んだ点が大きかったです。
廃棄物については分別徹底のため、各テナント様と直接打ち合わせを実施するなど、テナント様を巻き込んだ取り組みが点数獲得に寄与したと思っています。
幸田:認証取得の為の改修工事の中で喫煙室の改修工事に苦労されたとお聞きしております。
納:喫煙室は空気質の基準や仕様の要件が非常に厳しく大きな見直しが必要でした。
既に運用している施設での居ながら工事であるため、工事コストやスケジュール調整に加え、テナント様との調整が非常に大変でした。


幸田:LEEDの良い点や悪い点について、ご印象をお伺いさせてください。
納:良い点は、国際的な評価基準に基づき、企業の環境配慮の取り組みを明確に示すことができることです。
一方で、取得に大きなコストと時間を要する点が課題です。また、日本国内ではCASBEEと比べるとLEEDの認知度・価値理解がまだ十分ではない印象です。
幸田:LEEDは国際認証である点にて、英語での記載や、日本語対応、日本のJIS基準での対応などがハードルになっていると感じる事があります。
納:海外認証であるため、考え方の違いが根底にあります。特にタバコに関する考え方は大きく異なります。海外では原則NGで、屋外は比較的許容される傾向があります。こうしたギャップがあるため、日本側の事情に寄った形の基準調整が進むと、LEEDの普及がさらに進む可能性があると感じています。
幸田:LEEDは外資系の方に響くお話がありましたが、そのあたりはもう少し教えてください。
納:テナント候補の外資系企業は、事前のビル選定基準に「LEED取得済みか」という確認をほぼ必ず含めています。取得の有無が直接の入居判断になるわけではありませんが、最低限の条件として設定されることもあります。
将来的には「取得していて当たり前」という状況になる可能性もあると考えています。
幸田:建物環境認証を取ったビルにおいて、デベロッパーとして賃料等へのプレミアムを載せようという動きはあったりするものでしょうか。
納:環境認証だけを理由に賃料へ直接プレミアムを上乗せすることは現状ありません。ただし、環境配慮や機能面で良質なビルであることが証明されているため、基本賃料を高めに設定しやすいという効果はあると考えています。
幸田:最後にGBJとして、LEEDや環境認証の普及を目指しております。メッセージをお願い致します。
納:今回のインタビューのように、対外的な発信が重要だと考えています。
私自身も他社事例から多くを学んでおり、環境に配慮した施設が広くPRされることで認証取得の機運が高まり、普及が進むと思っています。
幸田: ありがとうございました。インタビューは以上となります。
Photo of Shota Osame

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