エコプロダクツ展2014 LEED/エコリーフセミナー[資料]

LEED(建築物環境性能認証システム)とJEMAI環境ラベル(エコリーフ)

2014年12月12日にエコプロダクツ展2014の中で開催されました、GBJと一般社団法人産業環境管理協会(JEMAI)さんとの共催セミナーの内容を掲載します。このコンテンツは、会員限定ではありませんので、一般にご覧いただくことができます。

 

著者:一般社団法人 産業環境管理協会 柴原 尚希 氏

各講演の概要
浦島 茂 :LEEDの概要―グリーンビルディングジャパンのご紹介
齋藤慎悟 :事例紹介(スターバックスコーヒージャパンの例)
安原紀子 :事例紹介(ヴォンエルフの例)
根岸華子 :エコリーフ環境ラベルとは?
Q&A

 

 

浦島茂:LEEDの概要―グリーンビルディングジャパンのご紹介

まず、セミナー参加者でLEEDの概要を共有するために、GBJ共同代表理事を務める浦島茂氏から、
(1)LEEDとは何か、
(2)LEEDの現状と将来、
(3)LEEDと環境ラベリング、
(4)GBJとはどういう組織か、
について紹介を行った。以下に講演概要を示す。

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飲み物などに栄養成分が表示されているのを目にしたことがあると思う。
ビルでも同様に環境性能の観点から評価されている。LEEDはLeadership in Energy & EnvironmentalDesignの略であるが、エネルギーだけではなく水資源やマテリアルリサイクルなど広い概念も含めている。
また、デザインだけにとどまらず建設工事や運用管理も含めて評価するシステムになっている。建築物の環境性能を栄養成分のように表示して、誰でも一目で分かるようにしたいという動きが1990年代初めの米国で起こってきた。

そこで、USGBCが中心になり、幅広い意見を集めて作った制度がLEEDである。この認証システムにたくさんのプロジェクトが参加することで、マーケットをより良い方向に変えていきたいというのが最大のコンセプトである。

評価システムは健康診断のように全員が受けなければならないものではない。いくつかの優れたビルを表彰するような制度と考えていただいてもよいかもしれない。
米国サンフランシスコのように条例という形で義務付けられている例もあるが、基本的に法規制ではなく任意で取得するものだと理解いただきたい。
LEEDの紹介では、「BETTER BUILDINGS」「BETTER, BRIGHTER, HEALTHIER」「LIVE, WORK, PLAY」のような表現が見られる。これらの要素が環境性能評価なのかと思うかもしれないが、むしろ従来のような環境、コスト、資源リサイクル、省エネのような単語はあまり登場してこない。
なぜなら、LEEDの中でそれらは完全に達成しなければいけない基本的な条項であり、必須項目を達成した上でどれだけ人間が生活するために快適な環境を作っていけるかがテーマだからである。
LEED v4ではその点が強調されている。

LEED v4は、

  • 建築設計・建設(Building Design & Construction: BD+C)
  • インテリア設計・建設(Interior Design & Construction: ID+C)
  • 運用管理(Operations& Maintenance: O+M)
  • 近隣開発(Neighborhood Development: ND)
  • 住宅(Homes)

という5つの評価システムから構成されており、その下にプロジェクト別に使える21種類の認証システムが細分化されている。以前は細かく分けられていなかったが、環境に対する評価がしだいに細かくなってきたので、用途の違うものは分けて、できるだけ詳しく評価できるようになってきている。

クレジットカテゴリーは評価項目と選択項目で構成されており、気候変動、健康、水資源、生物多様性、材料・資源、経済、コミュニティというシステムゴールを達成するために決められている要求項目だと理解いただきたい。

次に、LEEDの特徴について語る際、まずはInternationalだということが挙げられる。現在150か国で使われ、認証のために登録されているのが6万件、実際に認証されたのは2万件に達している。また、米国で始まったため当初は英語だけであったが、ポルトガル語、イタリア語、中国語、フランス語、スペイン語、アラビア語に展開され、レベルは違うがプロフェッショナルの試験制度はその国の言語で行われている。解説書も翻訳され、認証プロセスもそれらの言語が使われている。

さらに、以前のUSGBCのホームページでは米国国旗を中心として周りを各国旗が取り囲んでいたが、LEEDマークが中心に変更されたことが象徴するように、USGBCとしては明らかにInternationalに舵を切っている。GBJとしても海外の組織からアドバイスを受けたいということで、契約を結んで一緒に活動をしているところである。

普及状況をみると、1998年にLEED v1ができて、2000年にはじめて12件が認証を受けて以後、急激に件数が増えてきており、累計で2007年に千件、2014年には2万件を超えるほど伸びてきている。1日あたりに直すと1.5Mft2 (14万m2、東京ドームグラウンドの10倍の広さ)が毎日認証されるようになってきている状況である。
全世界で認証されている物件のうち、3分の1が米国以外での認証となってきている。なお、面積ベースに換算すると45%に達している。2014年11月現在のエリア別の認証登録数をみると、米国についでカナダ、中国、インド、ブラジルが多くなっている。
日本はまだ少なく、認証済・登録中合わせて129件にとどまっている。そのうち認証済は57件である。これらの情報はUSGBCのホームページで公開されている。

また、LEEDの登録中/認証済の物件数を横軸、不動産価値を縦軸にとった場合、日本は左上にプロットされる。つまり、不動産の価値は高い一方で、グリーンビルディングの数は少なくなっている。実際には日本の社会の中にグリーンビルディングに相当するものはたくさんあるにもかかわらず、そのことを世界に向けて発信できていないとも言える。

LEEDの歴史を見ると、開発されたり消えたりした認証システムがたくさんあり、それらが収斂されていって現在のLEED v4に至っている。また、以前は環境に貢献としているとは言えない状況でもLEED認証されたが、年代を追うごとに要求レベルが厳しくなってきている。最終的には建っていること自体で環境へのインパクトを与えないようにしようという方向性を持っており、LEED v4がその目標に近づくための第一歩になっている。

LEED v1.0-2.2は裾野を広げるべく始まったが、その後のLEED 2009では分析して評価をしようとしてきた。しかし、ハイブリッドカーであっても猛スピードで飛ばせば燃費が悪いのと同じで、良いビルだと言っても環境性能がフルに出ていない場合があった。そこで、LEED v4からは環境貢献しているビルをパフォーマンスベースで認証するように変わってきている。

また、環境ラベルとの関係だが、例えばMaterial & Resources(MR)というクレジットカテゴリーの中に、Building Product Disclosure and Optimizationという項目があり、エコリーフと関係が出てきた。タイプⅢ環境ラベルであるエコリーフを取得した製品はMR要求事項の1つのオプションとして使える。このことは、以前のバージョンでも試行的に記載があったが、LEED v4から正式に1つのクレジットとして認められる。なお、日本のエコリーフを取得していれば、他国でのLEED認証にも有効であるし、逆も同様である。

GBJでは様々な活動を行っている。特に、どのようにGlobal consistencyとLocal cultureを融合するか考えており、世の中のどこへ行っても同じように評価できるシステムの確立に貢献したいと考えているしだいである。

 

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齋藤慎悟 :事例紹介(スターバックスコーヒージャパンの例)

次に、LEED認証取得プロジェクトに携わった方々に、具体的な事例と今後の展望についてご紹介いただいた。
1人目はスターバックスコーヒージャパン株式会社で主に建築設計・デザインに携わる齋藤慎悟氏から、
(1)スターバックスでのLEEDの取り組み・背景、
(2)大濠公園店、京都リサーチパーク店での具体的取り組み事例、
(3)日本でのLEED実現にあたり苦労や気づいた点、
について紹介を行った。以下に講演概要を示す。

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なぜ、スターバックスがLEEDなのかというと、「会社の成長だけでなく人々にとってよりよい形で事業を展開していきたい」という基本的な考えがあるからである。特に、3つのコミュニティ(コーヒー生産者、お店の地域、地球全体)との関係を大切に考えている。コーヒー生産者については、適正価格で倫理的に調達されたコーヒー(フェアトレード認証コーヒー)を買い入れ、生産者のよりよい未来に貢献している。

お店の地域については、パートナーと呼ばれる店員が地域コミュニティの一員として絆を深める役目を担い、コーヒーセミナーの開催等をしている。地球全体については、率先して環境負荷を低減し、同じ目標を共有する仲間を増やしていきたいと考えている。

店舗の中のカップやナプキンには再生利用材を用いているが、備品だけではなく店舗建設及び設計における環境配慮の取り組みの一環としてLEEDを採用している。さらに、限定店舗でコーヒー豆粕のリサイクルも始めている。コーヒー豆粕は店舗から出る廃棄物の中で一番多く約4割を占めている。
そこで、まずチルドセンター及びリサイクル施設に持っていき発酵させる。豆粕を使用したえさを食べた牛・堆肥でできた野菜は、ミルクやサンドイッチの形で店舗に戻ってくる。この取り組みは「食品リサイクルループ」として国の認定を取得している。

スターバックスでは、日本だけではなく世界でLEEDを採用している。現在、米国、カナダ、タイ、ブラジル、英国など世界19カ国のスターバックスの新店店舗で、約560店舗が認証されている。日本は7店舗が認証取得済である。

具体的には、福岡大濠公園店、京都リサーチパーク店、表参道神宮前4丁目店、元八王子店、北谷国道58号店、横浜鶴見店、表参道原宿店である。さらに、二子玉川公園店などが申請中である。米国ではコンテナを再利用して建物の認証を取得している事例もある。認証カテゴリーはLEED for Commercial Interior(テナント内装)とLEED forNew Construction(新築)、格付けはシルバーと標準認証に実績がある。

以下では、LEED認証された京都リサーチパーク店(改装、2010年6月オープン)と福岡大濠公園店(新築、2010年4月オープン)の事例を紹介する。

京都リサーチパーク店

  • リモデルのお店だが、60 %以上既存内装を利用している。
  • 既存の椅子を補修・塗装し30%再利用している。

福岡大濠公園店

  • リサイクル素材を建設材料費の10%以上に使用している。例えば、鉄骨・サッシでは再生品を使っている。
  • 地域性のある素材を全体工事費の10%以上に用いている。
    なお、規定では800km以内で採取・処理・生産された素材を使用すればポイントが取れるが、800kmというと本州が丸ごと入ってしまうので、アメリカのスケール感だと感じた。この店舗では九州で取れた素材を使っている。
  • 九州産FSC材を総木材費用の50 %以上使用している。
  • 豆粕と落葉を混ぜ肥料化し、公園に提供するトライアルをしている。

共通

  • 面積の90%以上で自然光を確保している。
  • 建設中の廃棄物を50%以上分別・再利用している。なお、アメリカの担当者いわく、日本はこの分野のレベルが高いとのことである。スターバックスでは、日本やドイツ以外ではなかなか取りにくいポイントだと聞いている。
  • フラッシュアウトを行っている。入居前の粉塵・におい除去のため連続換気するのだが、約3日間基本的に店舗には立入禁止である。オープンが遅れるためテナントにとっては厳しいのだが、空気がきれいになるのでコーヒーの香りが際立って良かった。
  • リサイクルボックスを設置しており、3品目(ダンボール・牛乳パック・豆粕)をリサイクルしている。
  • 環境への取り組みをサインで簡潔に示したプラークを設置している。それをより細かく説明しているグリーンブックも設置している。

スターバックスでは、環境への取り組みをきちんとお伝えして、ご家庭でも導入いただければと考えている。グリーンブックの表紙には使い古しのエプロンを集めて縫い合わせて使うほどこだわっている。本の中では、平面図と断面図上にどのような取り組みを行っているか示している。

具体的には、フローリングの竹材使用、高窓の設置、屋根に降った雨水を貯めてトイレの洗浄水に利用、といった例を紹介している。グリーンブックの巻末にはノートが挟み込んであり、お客様がご意見を記入できるようになっている。その中から2件を以下に紹介する。

  • 「内装・外装ともにとてもオシャレですてきだと思います。しかもいろいろと環境に配慮されているみたいで、ちょくちょくよらせていただきます。
  • 「公園にスターバックス?と聞き、最初はネガティブな印象を受けた。しかし、このグリーンブックを読んでほっとした。このお店は、単なるグローバルカフェチェーンのひとつではなく、自然環境に対する敬意を示した象徴的な店だと思う。」(ベルギーからのお客様)

大濠公園は福岡では貴重なオアシス的な公園であり、自然環境が豊かな場所である。そのような素晴らしい自然環境の公園に出店するにあたり、環境を壊さぬよう第三者認証であるLEEDを採用し最大限配慮した。さらに、その取り組みをきちんと説明したことで、近隣のお客様の理解につながったのだと考えている。

最後に、材料選定などで苦労した点や気づいた点を紹介する。
米国基準のため、日本の考え方とのずれがある。例えば、日本は米国に比べ公共交通機関が発達しているので、Sustainable Site(SS)のクレジットを取得しやすいという特徴がある。
また、日本建築は伝統的に屋内外で空気的なつながりを持っているが、米国は断熱性能を高め内外を遮断することで効率を高める考え方であるので、小規模建築にとっては求められる性能が高すぎると考えている。

大濠公園店の断熱性能は非常に高いが、自動ドアの開閉で空気が入ってしまうというジレンマがある。また、VOCについて、日本ではフォースターという発散量で規定しているが、米国では含有量で規定しているので、米国の規定をクリアした国内で入手可能な建材を見つけるのが困難であった。国産建材でも米国基準適合品のラベリングが普及すると望ましいと感じている。

LCAや環境ラベリングとの関係については、LEEDはポイント制であり、プロジェクトごとに無理のない範囲で方向性を選択可能なのが特徴であり、方向性のひとつとしてライフサイクルでの環境負荷軽減も加わったことはとても良いニュースだと感じている。建材を使う側としては、認証されたものも通常のコストの範囲内で入手可能であるとより活用されると感じている。

 

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安原紀子 :事例紹介(ヴォンエルフの例)

2人目はLEED認証取得を、コンサルティング業務を行っている株式会社ヴォンエルフの安原紀子氏から、日本国内のプロジェクトにおけるLEED認証の活用について紹介を行った。以下に講演概要を示す。

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LEEDには様々な評価システムがあり、大きく「設計・施工」に関するものと、「既存建物の改修・運営・管理(Existing Buildings Operations & Maintenance: EBOM)」に関するものに分けられる。
さらに、設計・施工に関するものは細かく分かれており、

  • 住宅(HOMES)
  • 街区(Neighborhood Development: ND)
  • テナントスペース(Commercial Interiors: CI)
  • テナントビル(Core & Shell: CS)
  • 新築ビル/ 既存の大規模改修(New Construction: NC)
  • 学校・病院・小売店舗(Schools, Healthcare, Retail)

となっている。

米国では当初、LEEDは公的な建物から広がり始めたが、現在では民間での自主取得が多くなってきている状況である。これが、グローバリゼーションの波とともに日本へも入ってきた。日本国内のプロジェクトへの普及状況をみると、2009年6月頃からCIでの認証が現れ始めた。また、2011年終わり頃まではすべて外資系企業による認証取得であった。その後、日本国内の企業も認証取得に取り組むようになり、飯野海運株式会社のCIが日本企業最初の認証取得である。

その後、CIを中心に件数が増えてきており、新築ビル1棟の認証も出てきた。さらに、既存ビルや街区での取得も出てきている。当初は外資系企業が先行して取得していたが、現在では日系企業が中心となり約半数を占めている。また、オフィスビルから物流倉庫、店舗、データセンターといった様々な用途へ展開されており、既存ビルでの取り組みも増加している。EBOMは必ずしも改修がなくてもよく、新しいビルでなくても運用管理で努力すれば取れるという点が特徴である。

さらに最近、二子玉川東第二地区市街地再開発組合が日本で初めてNDで認証された。ライズ約11haと区立二子玉川公園約6haを合わせたエリアが取得範囲である。NDはスマートシティとは異なり、エネルギーだけではなく、生態系、安全性、コミュニティや歩いて楽しい街を評価する側面もありながら、基本的なビルの性能も押さえるという仕組みになっている。LEED認証後、良かったという意見を色々耳にする。
LEEDは世界的に普及しているので、海外(特にアジア)へ進出する際は共通言語で話ができるという点や、国際的に権威のある受賞に役立ったという声も聞かれた。

次に、プロジェクトごとの得点を分析してみたい。
ND以外の評価システムには、5つの評価カテゴリーがある。具体的には、

  • 立地や敷地利用(Sustainable Site: SS)
  • 節水性能(Water Efficiency: WE)
  • エネルギーと大気(Energy & Atmosphere: EA)
  • 材料と資源(Materials & Resources: MR)
  • 室内環境の質(Indoor Environmental Quality: IEQ)

である。
これらの基本のカテゴリーの中にさらに細かい評価項目が含まれている形になっており、建物と敷地全体を評価する。日本国内で認証されたプロジェクトについて、カテゴリーごとの得点率を見ると、NC、CS、CIでプラチナ認証されたプロジェクトについては、SS、WE、EAでほぼ満点である。

特に、トイレに中水を利用していればWEでほぼ満点になる。また、MR、IEQは認証レベルによらず、全般的に苦戦している。EBOMでは、性能重視ではなく運用改善のサイクルの構築が主眼であるため、建物の運営・管理でのきめ細かな取り組みによる加点が望める。

また、図面のアップデート、現状・問題点・目標の可視化にも貢献している。なぜ、MR、IEQで取得しづらいポイントがあるのか考えてみると、そもそもMRカテゴリー項目の中に、古い材料を利用したり、既存ビルの大規模リノベーションをしたりしないと取れないポイントが6点分もある。
今まで日本で認証取得されたのは新築のプロジェクトなので、この項目がそもそも加点できていないということを改めて感じている。IEQカテゴリー項目は、日米の単位の違いや試験方法の差があって、取りづらいところではあるが、絶対に取れない項目ではないと思われる。

この流れはLEED v4でも変わらず、歴史的建造物、古い建物、中古の材料の再利用に関する評価は、LEED 2009と同じウェイトで残されるので、既存のリノベーションであるというだけで、新築建物よりも5%も有利な位置からスタートできることになる。

LEEDは新築ビルの認証制度のように思われるが、既存ビルの再利用、価値の向上を推奨する仕組みが用意されていると改めて感じている。この点にLEEDのサステナビリティに対する思想が表れているのではないかと考えている。

米国ではリノベーションによるNCプラチナ認証取得の事例があるが、日本では、最新鋭の新築ビルによる認証取得が主流で、大規模リノベーションによるNC認証取得はまだない。取得すれば日本初となるチャンスである。

既存ビルを評価するLEEDレーティングシステムは2つある。
LEED New Construction & Major Renovation(LEED-NC)は新築版だが大規模リノベーションにも適用でき、LEED-NC基準の活用により、新築ビル並みの省エネ性能や節水性能を確保した既存ビルのリノベーションが図れるのではないかと考えられる。
また、LEED for Existing Building Operation & Maintenance(LEEDEBOM)は既存ビル版の運用・管理だが、現状把握や図面のアップデートに有効に働くのではないかと考えられる。

さらに、今後は街でも同じことが起こると良いと個人的には考えている。これから先の時代は全てが新築の大規模開発というわけにはいかないので、既存ビルは新築ビル並みの環境性能、耐震性能を備えた上で有効に活用し、必要に応じて新築した建物とうまくミックスできればと思う。

そのことで、多様性、ウォーカビリティ、Sense of Place(その街らしさ)を備えたサステイナブルな街区が構築され、既存ビルがうまく利用されたその街ならではの魅力が高まっていくのではないかと思う。

ランドスケープ設計・施工、緑地の管理、建物・敷地・不動産のサステナビリティに関するコンサルティングを通じて、今後もLEEDの普及に努めていきたい。

 

 

根岸華子 :エコリーフ環境ラベルとは?

最後に、カーボンフットプリントやエコリーフといった環境ラベルについて担当しているJEMAIの根岸華子氏から、タイプⅢ環境ラベルであるエコリーフの概要とLEED新制度における活用の可能性について紹介を行った。

 

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【Q&A】

Q1. LEEDについてわかりやすく解説された本などがあれば紹介してほしい

・GBJとしては、ホームページの充実のほか、USGBCとも契約してこれから翻訳を進めていく予定。ぜひGBJにご参加いただき、協力をお願いしたい。

Q2. エコリーフと他のラべリング、マークとのすみわけや重複しての取得例はあるか?

・重複事例はない。
(後日談として)
・他のラべリングはLCAに特化したものではないため、あまり重複しない。あえていえばFSCだが、特定の材料に特化したラべリングであり、重複事例はない。

Q3. (意見として)LEEDのガイドブックなど、中国語バージョンなどが出ているが、日本語版が出れば爆発的に広がるのではないか。英語が壁になっているのは残念である。

・USGBCは戦略的に動いており、ブラジルでのワールドカップやオリンピックの開催に合わせてポルトガル語版を発表したりしている。日本は「ニワトリが先か卵が先か」の状態。普及していないから日本語版ができにくい状況ともいえるが、国内で潜在的需要が見込まれるので展望が開けたらUSGBCが日本語版を作成する可能性はあるだろう。

Q4. スターバックスの店舗はある一定のスタンダードがあるように思われるが、どの店舗でも必ず取ろうとしているポイントはあるか?

・LEED取得店舗で、どの店舗でも必ず行っているのは、グリーンブックなどの情報発信である。お客様に対して説明する取り組みを行っている。

 

 

 

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