GBJ Youth Summer Program 2022 開催レポート・アーカイブ動画(期間限定)

【動画の一般公開は期間限定】2022年12月下旬まで

 

GBJ学生ユースは、2022年8月3日(水)から8月5日(金)に、「GBJ Youth Summer Program 2022 グリーンビルディングってなんだろう?」を開催しました。都市のサステイナビリティに関心のある高校生・大学生を対象に、LEED・WELL・SITESといった各種グリーンビルディング認証の概要や、グリーンビルディングに関係する様々な仕事について、設計事務所・ゼネコン・デベロッパー・コンサルティング会社など合計9社(12名)の実務担当者の方々からご講演をいただきました。また、最終日には高校生・大学生による未来のグリーンビルディングを考えるワークショップを実施しました。

 

開催概要

日時 2022年8月3日(水)9:30~13:00
2022年8月4日(木)9:30~13:00
2022年8月5日(金)9:30~13:00
会場 Place W (東京都千代田区九段北4-3-26 N-cross KUDAN 1F)
オンライン(Zoom)
主催 GBJ学生ユース
参加者数 67名(3日間累計、高校生以下 24名 大学生以上 43名)

 

 

開催結果

8月3日(水)「グリーンビルディングとは?」

 

1. 開会挨拶〜SDGsとグリーンビルディング〜
 Eminence Partners 木下 泰 様

 

 

サマープログラム最初のセッションは、グリーンビルディング(持続可能な建物環境や地域コミュニティ環境)の日本での推進を目指して活動をしている一般社団法人グリーンビルディングジャパン(GBJ)の共同代表理事である木下泰様より、グリーンビルディングを取りまく世界の現状や、SDGs、ESGとの関係をご解説いただきました。SDGsとESGは車の両輪であり、何か1つの方法で解決しようとするのではなく「多様性の重視がレジリエンスを高める」とのお話は、今後の社会の方向性を映しているように感じました。

 

 

2. これからの都市づくり〜GreenとWellness〜
 森ビル 中 裕樹 様

  

 

森ビル株式会社 タウンマネジメント事業部 パークマネジメント推進部 兼 TMマーケティング・コミュニケーション部 チームリーダーの中裕樹様から、今後竣工予定の虎ノ門・麻布台プロジェクトや、虎ノ門ヒルズエリアプロジェクトのパブリックスペースやグリーン企画といったプロジェクト事例をご紹介いただき、都市づくりにおける重要な視点を教えていただきました。街づくりにおいて、デベロップメント(ハード)だけではなく、タウンマネジメント(ソフト)も非常に重要であり、一体的運営・管理を行うことが持続可能な街づくりにつながることが分かりました。また、高層化と地下施設の充実による、地上のオープンスペースを増加させる考えが非常に魅力的に感じました。

 

 

3. LEED入門〜世界のグリーンビルとは〜
 日本設計 宮崎 淳 様

 

 

株式会社日本設計 技術管理部 技術支援グループの宮崎淳様より、建築や都市の世界的な環境性能評価システムであるLEEDについてご解説をいただきました。LEEDの詳細に加えて、具体的な環境建築の事例や、世界の環境認証の全体像についてもご説明頂いたことで、LEEDの背景やどのような役割を担っているか理解することができました。

 

 

4. WELL入門〜人の健康とウェルビーング〜
 清水建設 沢田 英一 様

 

 

清水建設株式会社 LCV事業本部 BSP事業部の沢田英一様より、人の健康とウェルビーングに注目した世界的なグリーンビル認証であるWELLについてご解説をいただきました。建物のウェルビーングに注目が集まっている背景として、建物運用コストの90%を占める人件費への効率的な投資が重要であり、利用者の生産性につながる要素を客観的に評価する指標が必要であるというお話が印象的でした。

 

 

5. SITES入門〜ランドスケープを評価する〜
 ヴォンエルフ 中山 諒二 様 アントニー様

 

ヴォンエルフ株式会社の中山 諒二様、アントニー様より、植物や水、土などランドスケープの環境性能評価システムであるSITES認証について、先進的な事例のご紹介も交えながら、ご解説をいただきました。SITESは建物の有無を問わずに、あらゆる空間を評価認証できる画期的手法であると分かりました。グリーンビルディングの考え方が広がる中でLEEDと評価の共有が可能である点も後押しし、今後さらに重要な評価制度になると感じました。

 

 

8月4日(木)「グリーンビルディングの仕事とは?」

1. ユースの取り組み〜エシカル就活〜
 アレスグッド 高瀬 由衣 様

 

 

現在、イーストアングリア大学開発学修士過程に在籍しながら、株式会社アレスグッドでインターンをされている高瀬由衣様から、サステイナビリティに力を入れている企業と学生をマッチングする「エシカル就活」のご紹介いただくとともに、将来のキャリアについて、社会課題を軸に考える際のヒントを教えていただきました。今を夢中に楽しむことが、将来自分がやりたいことに繋がると仰っており、自分が学生生活のうちに挑戦したいことに果敢に取り組もうと思いました。

 

 

2. GRESB入門〜不動産投資とグリーンビル〜
 CSRデザイン環境投資顧問 高木 智子 様

 

 

CSRデザイン環境投資顧問株式会社 執行役員の高木智子様より、ESG(環境・社会・ガバナンス)投資の広がりや、不動産会社などの環境・社会への配慮を測る世界的な取り組みであるGRESBについて、ご紹介をいただきました。GRESBは、建物レベルではなく、ポートフォリオレベルで企業のグリーンビルディングに関する状況を評価することができ、機関投資家にとって不動産分野の重要な投資判断の情報となっていることがわかりました。

 

 

3. 人と自然を感じるワークスタイル
 鹿島建設  松永 和幸 様

 

 

鹿島建設株式会社 開発事業本部 デジタル推進室の松永和幸様より、人と自然を大切にする空間をつくるために、鹿島建設で行なっている取り組み(グリーンインフラや屋上農園など)をご紹介いただきました。また、グリーンビルディングに関連したグローバルな働き方や、多様な関係者との協業についても、お話していただきました。「人と人との繋がり」や「人と自然との繋がり」を生み出し、まちを明るく健康的にすることができるグリーンインフラなどの取り組みの紹介から、人と自然を大切にするとはどういうことなのかを具体的に理解することができました。

 

 

4. SDGsとこれからのオフィスづくり
 コクヨ 齋藤 敦子 様

 

コクヨ株式会社 ワークスタイルイノベーション部の齋藤敦子様より、ワーカー、企業経営、都市のそれぞれの目線で最適なオフィス環境について、過去のオフィスデザインや最新のデザイン事例紹介も含め、ご解説いただきました。「一社でやろうとしてもできないことがある」というお話に非常に共感を覚え、これまでの働き方の概念にとらわれない”共創”を生む場づくりの可能性に期待が高まりました。

 

 

5. ARC入門〜既存建物の環境パフォーマンス〜
 ヴォンエルフ 大竹 杏奈 様 ベイリー 真秀 様

 

 

ヴォンエルフ株式会社の大竹杏奈様、ベイリー真秀様より、既存建物のサステイナビリティ評価ツールであるARCについて、エネルギー、水、廃棄物、交通、人の体験の5項目からどのように評価を実施するのか、ご解説いただきました。また、実際のARCプラットフォーム上でデモンストレーションいただき、具体的な操作方法についても教えていただきました。 既存の建物の環境性能を良くすることが一番重要であるという気づきを共有して頂き、私たちの学びになったとともに、ARCを使うことがその解決策に非常に有効な手段であることを知ることができました。

 

 

8月5日(金)「未来のグリーンビルディングを考えよう」

 

1. 話題提供

 

コクヨ株式会社 ワークスタイルイノベーション部の齋藤敦子様より、ワークショップで意見を出し会う意義について話題提供をいただきました。「多様なバックグラウンドを持つ人が出す意見で、新たな共創が実現する」というお話をいただき、参加者の積極的なアイディア出しを促進させるものと学びました。まさに、今回のワークショップは、高校生、大学生、大学院生で住む場所も異なるというまさに多様な参加者が集まりました。リアルタイムで参加者の現在の状況に重ね合わさり、新たな発見に繋がったのではないかと思います。

 

 

2. あなたの2日間の学びを共有しよう

 

ワークショップ最初のテーマは「あなたの発見〜2日間の学び〜」として、講義を通して得た発見をグループでシェアしました。建物の環境負荷は「つくる段階」と「つかう段階」に整理して考えることで対策をイメージしやすくなった、建物を利用する人々のウェルビーングに配慮するポイントは「建物側の工夫」「運用側の工夫」で多岐にわたることなど、様々な学びが共有されました。グループでの会話の中で、「なぜグリーンビルディング認証は1つにまとまらないのか」など、新たな疑問も生まれました。

 

 

3. あなたの街の今とこれからを議論しよう

住んでいる街、よく訪れる街など、自分自身にとって身近な街をそれぞれイメージし、グループで共有しました。また、その街の魅力や課題と思われる点を書き出し、街の現在や未来を話し合いました。東京の街でも、地域によってそれぞれ個性的な魅力があることや、地方都市でも開発が進んだ地域では自然が少ない場合があることなどがわかり、グループによっては、海外の都市と日本の都市の違いについて深く掘り下げた議論も行いました。

 

 

 

4. 未来のグリーンビルディングを考えよう

グループごとに対象地の都市を1つ決め、グリーンビルディングの考え方を活かしながら、今後、どのような建物やまちづくりを望むかディスカッションをしました。環境、人、地域に配慮しながら、より魅力的な街をつくるには、多様なアプローチがあることがわかりました。斬新なアイディアも多く、議論は盛り上がりましたが、街の個性を十分に活かすことの難しさも感じました。最終発表に向けて、班ごとにアイディアを模造紙にまとめました。

 

5. 最終発表

「もっと公園を楽しく快適に」

 

中野駅周辺を対象地としたチームでは、多世代が住み、働く街の特性に着目し、既存の公園を活用した快適な駅周辺の新しいアイディアを検討しました。駅と既存のオフィスタワーがつながり、「快適な就労環境」、「生活者と就労者との交流のフィールド」、「駅利用者のウォーカビリティ」等の観点でアイディアを出し合いました。それぞれの観点で相互的な作用をもたらし、「地元で暮らす人と働く人が交流できる」中野駅周辺の未来を展望しました。イラストを交えながらアイディアを検討し、イメージをふくらますことができたことがユニークでたくさんのアイディアの発想に結びついたのではないかと思います。

 

「もう東京には行かない。」

 

さいたま市を対象地としたチームでは「もう東京には行かない。」と題して、都心に出なくてもさいたま市内で小さい子供からお年寄りまで全ての人が楽しめるまちづくりを提案しました。具体的には、さいたま市内での移動を便利にするためにレンタル自転車や、気軽に使える電気バスを導入したり、地元の食材を使ったスイーツなどのお店をつくり、イートインスペースを設置することで若者を集めたり、大学のキャンパス内に誰でも使える市民農園をつくり、学生・子供・お年寄りの交流を活性化したり、キャンプやサイクリングなどのレジャーを提供し、美しい自然を最大限に活かしたりするといったアイディアを提案しました。また、土地を効率的に利用するために戸建てでなく高層マンションを建てたり、建物の中にもオープンスペースをつくる・窓を大きくして日光を取り入れる・植物を栽培するなどして、住民のウェルビーングを高めたりするといった、今回のプログラムで学んだことを活かしたアイディアも沢山出てきました。メンバーそれぞれがまちづくりを自分ごととして捉え、どんなことをすれば楽しい街になるかを真剣に考える良い機会になりました。

 

「下北改革」

 

下北沢駅を周辺としたチームでは、下北沢の「古着屋」や「カフェ」などの建築物が密集している特徴を残しながら、グリービルディングの視点から課題を見つけて解決策を提案しました。課題としては緑地、オープンスペースの少なさや、古着屋の空気質などが挙げられました。解決策として、「店内外のリノベーション」、「屋上スペースの緑化・活用」、「駅前広場の緑化、ベンチの設置」、「街路の空中緑化」、「評価システムの活用・空気質のモニタリング」などが提案されました。下北沢駅周辺の個性的な街並み、現在持つ魅力を活かしながら、グリービルディングの考えを導入することの難しさを実感しながらも、様々な提案があり、充実したワークショップとなりました。

 

6. 講評

 

ワークショップの最後には、サマープログラムでご講演も担当いただいた木下様、齋藤様、大竹様からご講評をいただきました。GBJ共同代表理事の木下様からは、短い時間のワークショップではあったものの、「参加者が多様な観点で積極的に意見を出し合い、他者との共創が実現できた」というご講評をいただくことができました。
サマープログラム参加者のみなさまには、プログラムでの学びやワークショップの成果を活かし、自分なりの未来の都市のアイディアをまとめ、現在開催中のGBJ学生オピニオンチャレンジ2022などをはじめ、さまざまな場所で発信して欲しいと願っています。

 

(レポート執筆担当:GBJ学生ユース 大輪・黒島・髙橋・塚原・中谷・三輪・吉野)