第59回GBJセミナー[講師の音声付資料・日本語訳] 気候変動危機:その課題と解決策 “Our Climate Crisis: Challenges & Solutions“

2020年6月30日(火)開催 

 

 

第59回GBJセミナー

<募集時セミナー案内はこちら>

“Our Climate Crisis: Challenges & Solutions“ 気候変動危機:その課題と解決策

 

講師:ジェームズ・スコット・ブルー  氏

   AIA, FCSI, CPHC, LEED AP, WELL AP,
   シニア・サステイナビリティ&ウェルネス・アーキテクト
   株式会社日建設計(東京)

 

 

講師の音声付資料・日本語訳

1.The Climate Crisis, Problems & Hopes
(気候危機、課題と期待)

 video1, video2

 

2.Solutions from the Built Environment
(建築・都市環境における解決策)

 video3, video4, video5, video6

 

3.What we can do? (私たちにできることは?)

 

4.質疑

 

5.KEY RESOURCES

 

 

日本語訳は当日の講演(ビデオ)と異なる部分があります。ご了承ください。

 

1.The Climate Crisis, Problems & Hopes
(気候危機、課題と期待)

v1.

 

建築家になる以前から私は環境保護主義でした。私が子供のころは環境保護主義というの言葉の響きは良いものでありませんでした。環境保護主義者というのはその名の通り、環境に配慮をする人たちです。それ以外の意味はありません。政治的な見解も他の見解もありません。

ここで私は育ちました。小さな星のマークがついている場所です。 米国の北部に位置する場所でカナダにとても近いところです。日本列島と同じ大きさです。日本列島は若干小さいですが、ほぼ、カルフォルニア州と同じ大きさです。日本の気候はミネソタ州からメキシコまでの幅がありますが私の育った場所北海道の気候と良く似ています。降雪量の多いところです。これは故郷の湖、スペリア湖ですが世界最大の淡水湖です。この地図をみればカナダとの近さがわかると思います。自然の豊かさを理解してもらうためにこのスライドをお見せしています。私は自然の中で育ちました。ここは私の実家に近い場所ですが自転車でも行ける距離です。実際に自転車で行っていました。この写真の出典はわかりませんが、オーロラが寒いところなので頻繁に観測できます。 夜空はとても明るいです。小さな町なので人工的な照明があまりないからです。実家からも近い自宅の庭です。スペリア湖は人工の運河、川で海に繋がっています。日本、中国、世界中から船舶の往来が日々絶えることなくあります。セメント、穀物、トウモロコシなどを積み込みで行きます。淡水湖では世界最大の港だと思います。 この写真は朝の通勤時に撮影した一枚です。私が自然に囲まれて育ったことが分かると思います。これが私が環境保護主義者になった背景そして理由でもあります。ただ、環境保護活動家でいるだけでは十分ではありません。

 

気候変動危機は迫っているのではなく、実際に今、起こっているからです。

 

気候のインパクトは明白にそして過激になっています。台風、ハリケーン、干ばつ、洪水、サンゴ礁の死滅、山火事が起きており、動物が絶滅してます。今行動に移さなければ気候変動危機は更に地球環境を激しく悪化させてしまいます。新型コロナウイルス禍を更に凌駕する危機になります。

 

気候変動危機の現実に虚無感、無力感を覚える人もいると思います。今更何もできないと思ってしまうかもしれません。出来ないと諦めないことが大切です。レイモンドウイリアムも言っていますが希望をどんな時でも抱くことが大切です。

 

これらは実現可能です。テクノロジー、ノウハウ、道具、技術もあります。今日ご参加の皆さんも何かしら貢献していただけると思います。 このセミナーのフレームワークはDROWDOWNのWEBサイトからのものです。DROWDOWNという言葉は英語でも聞きなれないと思います。炭素排出量を減らすという意味です。このサイトに関して後程くわしく説明します。

 

炭素の排出量が長期間にわたり顕著に減少している世界を想像して欲しいと思います。その減少により得られる利益を考えて欲しいと思います。燃料は使うよりも節約する方がコストはかからないのです。気候が安定し、地球の修復が始まることを考えてみてください。

成功している業界が多くのマテリアルを無駄に消費しせずにいられることを考えてみてください。サービスを提供する側、顧客が良い行いをすることで繁栄して価値があがっていることを。エネルギー、水、土地が十分に誰もが永久に享受できる世界を考えてみてください。

統合設計や生物の優れた機能を生かすことで豊かな価値を生み出すことを考えてみてください。

 

問題点 
世界経済フォーラムで世界が直面するリスク一覧が公表されました。
これが2020グローバルリスク(土地利用)の展望とスケールです。Y軸(縦軸):影響、X軸(横軸):発生の可能性で世界のリスクインパクトがわかります。リスクの凡例は色分けで表記されています。緑は環境的、赤は社会的などです。興味深いのはリスクの大半が環境的であることです。驚くべきことでないかもしれませんが。感染病のリスクがとても高まっていますが凡例ではそれほど高くありません。大量移民も気候変動で現在起きています。このチャートよりも更に興味深いのは次のページの相互関係です。

リスクと気候変動の関係性はとても興味深いものです。気候変動は中央に位置し、ほぼすべてのリスクと関係しています。暗く重いラインから深刻化する気候、多様性の喪失、環境災害、自然災害、ほぼすべてと繋がっています。一部社会的、デジタルリスクを除いて。

多様性の喪失は直接気候変動と感染症につながります。環境を破壊したせいで、私たちがコロナウイルスを作りだしたのです。

 

この写真に写っている人たちは、気候変動はこれから未来に起こるのではなく、今ここ現実に起こっていると告げています。この5年で中米の人たちは何百万人という単位で移住しています。食料を得る生き残るための移住です。日本ではまだ、おきていませんが将来おこる可能性はあります。必ず起こると断言してもいいかもしれません。日本は食料を大幅に海外からの輸入に依存しているからです。

これは年間のEU連合、米国などの地域国別二酸化炭素総排出量を示したものです。どの国がどれ程の二酸化炭素を排出しているかに注目してもあまり意味がありません。二酸化炭素には超えてはならない国境はないからです。二酸化炭素は容赦なく国境を越えて移動します。地域別で注目すべき点はどこが排出量を削減しているかという点です。EU連合、米国、中東は減少していますが逆に増加している国もあります。この表で知ってもらいたいのは1つです。今日の講義の中で何度かこの件について質問を皆さんにするので。これです。年間360億トン以上の二酸化炭素が毎年排出されているという事実です。この360億トンという数字を覚えていておいてください。この数字が今日の講義を通して重要なキーワードになるからです。

 

二酸化炭素排出に関してはすべてエネルギー問題だと捉えがちですが、実際は62パーセントにすぎません。化石燃料による二酸化炭素の排出は62パーセントということです。過半数を占めてはいますが。その中でも土地利用での排出量はとても大きな割合を占めています。

化学物質の二酸化炭素、メタンガス、亜酸化窒素、Fガスなどです。この件については後程解説します。 これは主要経済部門別の温室効果ガス排出源を示めしたものです。私たちが排出した温室効果ガスは殆どがそのまま大気に残留しているのです。総排出量の約59パーセントが大気に残留しています。何故か?第一に、過度の排出量。次に十分な保管許容量がないからです。温室効果ガスの吸収源を思い出してください。右下に記してある文字です。シンクスというのは吸収源です。地球、海洋、土地、森林が吸収できる二酸化炭素の許容量を示します。

過去、二酸化炭素の排出はほとんどありませんでした。地球ははるかに多くの二酸化炭素を吸収していました。現在は排出をしすぎています。排出源について注目しがちですが、吸収源もそれと同様に重要です。

 

v2.

地球の気温は継続的に上昇しています。このNOAA(National Centers for Environmental Information :国際的な環境情報センター)のチャートではゼロのラインは100年間の平均気温を表していますが急激な気温の上昇が起こっていることを理解できると思います。過去5年間は気温上昇の最高記録に達しています。地球の気温には海洋も含まれます。地球規模には土地と海洋を含んでの平均気温です。海洋の温度は早く上昇し、人間にとって重大な影響を及ぼします。海洋は地球に暮らす全人類とっての生命の源になります。

これは健全なサンゴ礁です。海水の温度が上昇すると塩化してそれにより甲殻類の命を奪ってしまいます。甲殻類は殻を分解されて失ってしまうのです。漁師は殆ど殻が残っていない状態の甲殻類を水揚げしています。サンゴ礁は死滅しています。サンゴ礁は人間の生命維持に欠かせない存在です。地球上の約半分のサンゴ礁がすでに失われています。あと50年以内にすべてのサンゴ礁が絶滅してしまう可能性があるという人もいます。大量の魚が死滅しています。今年に入り、北海道北部の漁師が海に魚が見当たらず漁業が立ち行かないという記事を読みました。海洋の環境は非常に悪化しています。

更に興味深く驚くべきことは、大量の地球上の昆虫が死滅しているという事実です。虫なんてこの世に必要でないのだから好都合と考える人もいるかもしれません。実は昆虫は人間にとって欠かせない存在なのです。昆虫は他花受粉に利用されていますが他にも多くの恩恵を我々に与えてくれています。生物の多様性も制御しています。昆虫はコロナウイルスの原因にもなりますが抑制にもなるのです。 昆虫の死滅崩壊が起きている理由は、まず、気候変動、生息地破壊、生息地の分断や減少、そして気候変動や排出化学物質で起こる汚染です。

 

この写真はコロラドに住んでいた時のものです。この地から東京に5年前に移住しました。そこに数年住んでいる間に気づいたことは、この写真にあるすべての木が松に寄生する虫のために枯れているということです。この虫は毎年冬になると死ぬのが普通でした。寒さに耐えられず死ぬのです。現在のコロラドの冬は寒さが相当緩んでいます。朝に降った雪は午後には融けて消えています。この昆虫は山のすべてに越冬して生息しています。一年を通して繁殖が可能になっています。この山から消え去ることはありません。昆虫が死滅してはいますが、昆虫媒介感染症は過去最高数となっています。米国だけでも過去13年で3倍になっています。蚊が媒介するジカウイルス感染症などです。コロナウイルスでも昆虫は何らかの役割をしていると思われます。昆虫は媒介の役目を果たします。家畜の伝染病などでも媒介します。

 

人畜共通感染症、これは私にとって新たな題材ですが、文字通り動物から人間に伝染する感染症を示します。コロナウイルスの流行でこの言葉を皆さんご存知か検索されたと思います。なぜ、人畜共通感染症が増加しているのでしょうか?生物多様性の喪失、温暖化により森林を破壊し、これまで接点のなかった動物や昆虫と接触することになり、互いの生息域を超えるような現象が起きていることが理由に考えられます。

 

1970年からの最高のヒット曲集と題しましたが、これは私が誕生した年でもあるので 引用してみました。

90パーセントの大型魚類が人間が食用として消費喪失、60パーセントの哺乳類が地球上から喪失、2千から1万の種が地球上から毎年絶滅、地球の半分の表土を喪失しており、今後60年で全て失われると予測している人もいる。3センチの表土を戻すのに1000年という年月がかかる。これが個人的には一番恐ろしく心配です。地球の37ある帯水層のうち、27が崩壊の危機に瀕しています。2018年の1年間だけで12億エイカーの熱帯雨林が喪失しています。350万分の1以上の二酸化炭素を大気に排出し、それが今や415万になっています。

 

新型コロナウイルスCOVID-19は地球のワクチンであって、人類がウイルスです

 

これから3分間のビデオをご覧ください。

 

私がここまでお話したことは悲観的な内容ばかりだと思われるでしょう。暗い気持ちになると思います。多くの方が絶望感を抱くと思います。ここからは希望のある私たちが状況を変えるためにできることについて話していきます。個人的な生活と仕事での活動の両方に関して取り上げていきます。冒頭に説明しましたように、今日の講義はこのDROWDOWNのウェブサイトの情報に基づいているとお話しました。DROWDOWN.ORGは非営利団体でポール・フォーキンにより設立されました。ポールは著名な作家でナチュラルキャピタリズムを始めとする数々の著書があります。今ご覧になっている画像はすべてこのサイトからの引用です。これがウェブサイトです。現在有効な気候変動の解決策が掲載されています。

目新しいものでも、発明されたものでも、特別なものでもありません。既存の解決策です。

この解決策の一覧をクリックします。約80の解決戦略が掲載されています。炭素削減でソートもランク付けも可能です。スクリーン右側にあるシナリオ1、シナリオ2では2020年から2050年の30年間での10億トンの二酸化炭素の削減もしくは貯留を示しています。一番効果のある戦略は食料廃棄を削減することです。なぜ健康と教育が2番目に効果があるのでしょうか?今日はこの件に関しては触れませんが、最も削減効果が高い戦略は建物に対してではないのです。それでも建物からの排出は多くを占めているのでこの件に関してお話します。シナリオ1は地球の気温制限が2℃上がっており、シナリオ2では1,5℃上がってといるとしています。すでに1℃制限から上っている状況なので、1.5 ℃で収めることができるか難しい状況です。抜本的な改革が必要です。

 

ウェブサイトのカテゴリー分類は特出しています。戦略を電力、食料、農業、土地、工業、交通、建物、海洋、二酸化炭素の土地吸収源、貯留に細分化しています。エンジニアリングでの二酸化炭素の回収貯留というのも聞いたことがあると思います。健康と教育は建物から離れた分野ですがこれはとても興味深いカテゴリーです。発展途上国の女の子に教育の機会を与える方が建物の環境を変えるよりも更に大きな影響をもたらすことができるのです。建物に関するカテゴリーを少し確認しておきましょう。幅広く二酸化炭素の排出量を削減できる可能性があります。73.7から141.2まで。建物のカテゴリーをクリックするとこの様なスクリーンに多くの戦略が一覧に表示されています。この戦略の中には建築に属さないものも個人的にはあると感じでいます。エンジニアリングは建築というよりも電気電子の分野に属するのではないでしょうか。私は同じカテゴリーでも少し違った細分化をしています。

 

屋上緑化と冷却について軽く触れておきましょう。DROWDOWNの全ての戦略ではこのようなページがあります。可能性、30年単位での二酸化炭素削減もしくは貯留の戦略が示されています。費用がどれくらいかかるのか、シナリオ1、シナリオ2という選択肢があります。この解決策を実行に移すための費用の幅と実行した際の節約額がわかります。 今回はお見せしませんが全てのページに計算の技術的詳細説明が掲載されています。研究データの出典及び根拠が記されています。DROWDOWNは国際的チーム編成の科学者などのキャリアもある研究員たちがとても高度なリサーチを行ない温暖化ガスの削減の可能性を探ってます。控え目で適度なアプローチを導入しています。

 

 

2.Solutions from the Built Environment
(建築・都市環境における解決策)

今日注目する解決策はアーキテクチャ(建築方式)、エンジニアリング(構造、メカニカル、電気、配管)、都市計画など。この各カテゴリーから2つか3つの解決策を取り上げます。土地利用についても重要なのでお話します。そして最後に個人が実践できる戦略についてもお話ししたいと思います。 この話を先に進める前にお話ししたいことがあります。ギガトンとは何かわかりますか?ギガトン単位のCO2とは何でしょう?どんな姿をしているのでしょうか?それを示すイメージを見つけることができました。ギガトンとは10億トン、ビリオンは0が9つ、10億です。これが1トンで約直径10メートルのバルーン、ボールです。これが10億個集まった分量が1ギガトンです。どのくらいの二酸化炭素が世界で1年間に排出されるか覚えて居ますか?ニューヨーク市では毎日、15万トンの二酸化炭素が排出されています。この青緑色のボールは左に出している1トンの直径10メートルのバルーンと同じ大きさです。15万トン分のボールがエンパイアステートビルを覆っているのです。二酸化炭素を可視化して理解してもらうためにこのスライドを準備しました。どのくらいの二酸化炭素が世界で1年間に排出されるでしょう?覚えていますか?360億トンです。この数字を覚えていてください。また後程質問します。360億トンが毎年世界で排出され、その数値は毎年増えています。

 

v3.

 

 

建築 高性能ガラス 東京に生活の拠点を移した時にはとても驚きました。マンションの7階の部屋を借りたのですが3日間一睡もできませんでした。なぜ東京で眠れないのかと不思議に思うかもしれません。以前に住んでいたミネソタ州コロラドはとても静かだったので。二重、三重ガラスを使用していたので外の騒音は一切聞こえませんでした。日本ではガラスが1枚だけです。新しいビルでもそれが標準ですし、通りで話している人の声が5階にいても聞えてきます。はっきりと会話が聞こえるのです。最初の3日間は眠れず、仕事にも最初の日は行けませんでした。ガラスを通して聞こえる騒音で寝不足だったからです。ビルのデザインでガラスは本当に重要です。最重要戦略と言えると思います。すべてのビルの側面で違うガラスを採用すべきだと思います。微妙に太陽の入光を調整することも重要です。360億トンの二酸化炭素が世界で1年間に排出されるなかで、この戦略は30年間で10億400万から12億6300万ギガトンの削減が可能になりますが、費用も掛かります。9兆ドル以上が必要ですが将来に渡る運用節約額も相当額になります。建物で使用しているガラスは耐久性があり、取り換えることはほぼありません。通常はビルの建て壊しが必要になる時くらいです。

 

断熱改修もまた重要です。ここに示しているギガトンの数値に注目してください。17から19ギガトンの二酸化炭素が断熱により削減できます。すべての戦略には想定があります。前出のガラスでも徐々に改修されていく件数が増えるという想定があります。もし、高性能ガラスが年間に3パーセントから5パーセントの改修ビルに使用されるとしたらという想定です。この断熱改修を現存の建築物に施した場合の想定ですが、それではまだ充分ではありません。日本の建物には欧米の基準に比べて殆ど断熱材が使用されていません。多くの断熱材を使用すると熱が建物内に滞留すると考えますが、その逆で冷却を維持する効果もあります。断熱は世界中で必要です。年間1.6から2パーセントのビルの改修で断熱材が採用されることを想定しています。窓からの空気の漏れ、建物内外の空気の漏れの方が断熱よりも更に重要な問題です。室外、室内の空気の入れ替えは断熱よりも重要です。

 

屋上の緑化は重要な戦略のひとつです。緑化が限定ではなく、白や薄い色の屋根を使うことが重要です。都心のヒートアイランド現象対策にとても効果があります。さらに大幅なエネルギー削減にもなります。緑化されて、白や薄い色の屋根が採用されている建物であれば屋根の寿命を長くなります。土や草木を建物の屋根に施すことは劣化を速めるからと嫌う方もいるかもしれませんが、実際はその逆です。土で覆う方が逆に屋根の耐久性が高まります。エネルギーを節約し、更に直射日光が当たる屋根よりも大幅な冷却効果があります。 あまり多くの二酸化炭素が削減されていないように感じるかもしれませんが、都市にとっては大変重要な戦略です。この件に関してはまた後程説明します。この戦略を採用すると将来に渡る運営費用の削減にも繋がります。

 

建築構造エンジニアリング この分野で最も注目すべき要素はセメントです。セメントが大量のエネルギーを消費することは周知だと思います。セメントを作るのに大量のエネルギーが必要です。セメント、フィラーの代替を使うことで炭素排出に関連する影響を軽減できる可能性があります。石炭を燃やした時にでるフライアッシュをセメントに入れる手法を過去30年以上採用しています。これは新たな戦略や突飛な発想でもありません。セメントの質をより良くし、強度を増し、より実用的にしています。建築構造エンジニアリングに関わっている方は周知だと思いますがこれは良いアイディアです。 現在は違いますが、木造ビルもDROWDOWNの一部でした。このデータはまた別の科学的な報告書から採用し、そのデータの解釈をしました。30年の時間枠がそこに皮肉にも存在していました。さらに二酸化炭素削減の広域な幅がありました。木造ビルの高普及率を想定していました。すべてのビルの半数が木造になるとしていましたがそれを私はその数値を削減しました。それ故にこのデータの自分なりの数値の解釈が必要になりました。木造ビルは私たちが実践できる最良の手段であることには変わりありません。日本は中国から学び城を石で築きましたが地震が起きて倒壊しました。それからまた学び、日本は木で築城する決断をします。木造になってからはその柔軟性と強度が石造よりも上がったことに気が付きます。柔軟性があり、簡単には壊れません。木造ビルは火災を引きおこす危険性が高いと思う方が多いと思いますが、そうではありません。木の方が鉄よりも火災の危険性は低いです。木に関してそういう思い込みを捨てて、考えを改める必要があります。住友林業と他の林業系の会社が日本政府と共に木造ビルを推進しています。木をもっと建築に採用すべきだと思います。竹は草ですが木にも関連しています。大変重要な戦略でDROWDOWNでは竹を更に多く生育させることに重きを置いています。炭素削減の役目ではなく、炭素を隔離、貯留するためです。大きな数字が出ていますがこの数字と360億トンの年間二酸化炭素排出量を比較してみてください。82.7から213.1億トンですが、これは竹を適切な気候で生育された場合です。7年前にオーストラリアのワークショップで出会った私の大変親しい建築家の友人がいます。現在はバンコクに住んでいますが竹の専門家になっています。このような竹を使った建築物を建てています。竹の扱い方を現地の人たちに教えています。ベトナム、インドネシア、中国など東南アジアをめぐって竹の保存の仕方、竹建築の製法、竹がこの地球上で最高のサステイナブルな素材なのかを解いています。竹には1000通りの使い道があります。竹を使用することで大幅に節約が可能になります。造形美にも秀でていると個人的に思います。

 

v4.

エンジニアリング

機械、電子、配管

まずエアコンディショニングの重要性について話をしたいと思います。インターナショナルエナジーエージェンシー、ロッキーマウンテンインスティテュートが2018年の後半にフューチャーオブクーリング、グローバルクーリングチャレンジという報告書を出しました。冷却の問題とは何でしょう?問題はかなり大きいです。あまり認識はしていませんが世界中で冷却の悪循環が起きています。ここになぜエアコンディショニングが重要かを示しています。問題は、2030年には地球上の人口の半数以上が高温気候下で生活していることです。気候変動で気温が上昇し続けています。大変危険な加熱状況です。住宅の冷却は国によっては5倍の使用量増加になります。世界規模では2050年には現在の3倍のエアコンディショニングが存在しているという予測がでています。2050年には現在の1.2億台から4.5億台の住宅用のエアコンディショニングが使用される予測がでています。これはロッキーマウンテンインスティテュートの調査ですが、最高でも14パーセントの理論効率しか住宅用の冷却では達成されていません。理論効率はもっと高いはずです。ですが現実は大変低い状況です。どのような対策をとるべきか。ロッキーマウンテンインスティテュートでは2019年にグローバルクーリング賞を設立しました。この賞のためにインド政府や各界の著名人が多額の寄付をしました。具体的にはどのような賞かというと、地球の気候変動影響を5分の1に軽減させ、水、電気の消費量が少ない住宅用のエアコンディショニングシステムを作ることを競うものです。グローバルパートナー、ロッキーマウンテンインスティテュートや他に多くが関わっています。賞金は300万ドルです。更に情報が必要な場合は英語表記のみですがWEBサイトを確認してください。これはイノベーション賞です。創造性を生かす、発揮する新しい地球の冷却システムに与えられます。2018年11月にこの賞のことを知りました。日建設計の役員から知らされ、ダイキン工業と共同チームを作り挑戦してみようといわれ了承しました。世界から2100のチームが参加し、445チームが厳しい参加許諾審査を通過し31か国139チームが技術的応用詳細計画を提出しました。そこからさらに10チームが最終選考に選ばれることになりました。幸いにも日建設計とダイキン工業チームはグローバルクーリング賞の最終選考8チームに冷却提案策で残ることができました。

 

なぜ冷却が電気だけでなく、それほどまでに重要なのでしょうか?悪循環という言葉を先程使いましたが、地球が温暖化で気温上昇すると、更に冷却が必要になります。インドやインドネシア、中国のように国の発展に伴い更に冷却が必要になります、住宅のエアコンディショニングの使用率も増加します。エアコンディショニングは電力を必要とし、電力には石炭が必要です。そして石炭は二酸化炭素を更に排出します。二酸化炭素の増加は温暖化を加速させます。温暖化はエアコンディショニングを必要としという悪循環から生まれるのです。

冷却するために化学薬品でつくる冷媒は電力そのものと同様に重要です。地球温暖化の原因の全体の62パーセントが化石燃料によるものです。ここに示している数値の大きさに注目してください。現在ある冷媒を変えるだけで、30年で570億7500万トンが削減できます。自然由来で地球温暖化を減らす冷媒の代替を採用するだけでも効果が期待できます。なぜ冷媒が環境に悪いのかを後程また説明します。この分野にはネガティブコストがあります。ネガティブコストとは地球温暖化を助長する原因、冷媒を取り除くことで即時に費用節約が可能という意味です。これが現在使われている一般的な冷媒です。ほかにも種類はあります。京都議定書やモントリオール議定書で段階的に取り除くということを耳にした方もいると思います。冷媒の代替は地球温暖化の大きな要因になる冷媒とは別のものでなければいけません。LEEDプラジェクトに関わっている方はGWPをご存知だと思います。グローバルウオーミングポテンシャル:地球温暖化係数です。冷媒は1から14,800,15,000の幅があります。二酸化炭素よりも15,000倍の温暖化を招くということです。ODPオゾン層破壊係数のベースライン数値を失念しましたが自然冷媒も存在します。ですが多少危険な物質ではあります。アンモニア、二酸化炭素、プロパンなどです。これらは可燃性や安全性の問題がありますが地球温暖化係数とオゾン層破壊係数はゼロです。これを研究調査することは重要でグローバルクーリング賞の開催意義があるのです。 ここに原子力もいれておきたいと思います。日建設計の役員から説明をすべきだと言われたので。私は個人的に原子力発電にはかなり反対の立場です。原子力に関わるものすべてに反対です。原子力はリグレットソリューション、後悔する解決策です。遅かれ早かれ必ず将来的には後悔するでしょう。技術という意味では原子力の取扱いはわかっているのですぐに実行に移すことが可能です。原子力発電所が計画よりも費用が掛からなかった事例はありません。計画当初よりもほぼ2倍の費用が掛かっています。個人的には最悪の投資だと思います。安全性に問題があります。福島(原子力発電所震災)を見ても、ほかの原子力発電所の事故例を挙げなくても日本人である皆さんはどの国よりもその件を理解していると思います。

 

日本は地熱発電に更に投資をするべきだと思います。個人的に地熱発電を推奨します。もし、温泉がお好きでしたら、地熱発電も好きだと思います。日本では地熱発電はあまり活用されていません。恐らく初期費用がかさむ、地熱掘削費用が高額などの理由があると思います。さらに深く掘削しないと地熱エネルギーが得られない他の国よりも掘削費用は安く済むはずです。日本で費用が安価でないのは地震の懸念があるからかもしれません。しかし、このエネルギーは冷却、もちろん暖房に使用ができます。他にもいろいろな用途があります。自然利用で無料という意味では風力や太陽光発電と同様です。二酸化炭素を削減する数値も大きいです。世界的には地熱発電の普及率はあまり高い状況ではありません。

 

太陽熱で温水が作れる装置です。これは多くの国で利用されています。さらに環境に貢献する大きな可能性を秘めています。仕組みは多少複雑かもしれませんが二酸化炭素の削減量を見ればその有効性がわかると思います。1兆ドルかそれ以上の費用節約になります。4年前に京都駅に太陽熱温水装置を導入しましたが、駅内にあるホテルで有効活用されています。

 

これはユーティリティスケール太陽光発電です。数値を見てください。年間の世界の二酸化炭素総排出量を覚えていますか? 360億トンです。ユーティリティスケールの太陽光発電を使えば30年間で420億トンから1190億トンの二酸化炭素削減につながります。今日確認した数値の中で一番大きな数字だと思います。すでに利用していますが、多くの国が導入し、毎年増えています。今年はコロナ禍のために下がっていますが、普及率はかなり高まっています。節約面でも1兆円を超えています。これは屋根に備え付けるタイプの太陽光発電です。これをディストリビューテッド太陽光発電と呼んでいます。これもまた二酸化炭素削減数値がとても大きいです。30年間で1年間の世界二酸化炭素排出量を超える削減が可能です。節約額も大きです。 DROWDOWNではオフショア、オンショアの風力を含めていますが、私はオンショアだけを含めています。数値が大きいからです。理由はわかりませんがオフショアよりもオンショアの方が、数値が大きくなります。470億トンから1470億トンのエネルギーが節約できます。風力に関しては、日本はあまり有効ではありません。これに関しては後に説明をします。

 

v5.

都市計画

この写真はコロラド州ボルダーです。私は、ここから5年前に東京に越してきました。とても美しい街で、米国で初めて人専用の道を作った都市でもあります。東京でも日によって車輛を進入禁止にする道がありますが良い事だと思います。人だけが通行可能で買い物をしたり散歩をしたりしています。道を楽しむ権利を人が取り戻すということは素晴らしいです。この戦略はウォーカブルシティ、歩いて生活出来る街です。Walkscore.comというサイトに行って住所を入力すると0から100点の評価点数を出してくれます。100点は歩くのに理想で0点は車か公共交通がなければ不便ということになります。このサイトはアメリカのものなので日本の住所を入力しても認知しないと思いましたが、世界中の都市情報が入っているようです。今、私が暮らしている下北沢の住所を入力したところ、92点という評価になりました。かなり歩いて楽しめる街ということです。生活に必要なものが徒歩圏内にそろっていることを示しています。コンビニエンスストアだけでなく、役所やライブハウス、レストラン、郵便局、銀行がすべて利便性の高い家からの徒歩圏内にあるということです。それを歩いて生活できるのをウォーカブルシティといいます。費用はかかりません。これは政策です。それを許可する政府の政策です。日本はいろいろなものを混ぜて使うことが得意です。ひとつの通りに色々な施設が点在しています。米国は30年間に比べたら改善されていますが、その点はあまり上手ではありません。規約を変える必要がある街がまだ多くあります。あまり二酸化炭素排出削減には貢献しませんが、健康的だと言えます。米国は日本に比べて食生活や運動面が健康的ではないので、米国こそウォーカブルシティを更に取り入れるべきだと思います。これはバイカビリティ、自転車移動が可能な街です。この点に関しては、米国は進んでいると思います。年にもよりますがボルダーは1位、2位を獲得しています。故郷のミネソタも自転車で移動が可能な都市です。たくさんの設備があり、自転車専用道路、アクセス、スペースがそろっています。東京のように単にレーンや道に描かれた自転車用のサインだけでなく。日本は独立した自転車専用道路を更に導入するべきだと思います。自転車で公園から公園への行けるコネクション整備が必要だと思います。自転車設備で費用が多大に削減できます。節約額がマイナス表示ですがここにはヘルスケアの利益が含まれていません。自転車に乗り、歩くことで健康になります。長期的にみれば利益が高くなります。ウォーカブルシティは複数の利益獲得が期待できます。

 

公共交通に関しては日本でお話する必要はないです。世界一公共交通が発達しています。日本以上の国はありません。年間排出量360億トンと比較すると二酸化炭素排出削減率はかなり高いです。節約額も大きいです。都市の温暖化は世界の温暖化の平均よりも進んでいます。世界の平均は一番下の赤い線です。Y軸をみてください。2010年の記録ですが世界の気温は約1℃上昇していますが東京は過去100年で3℃上昇しています。世界の気温の3倍です。アイランドヒート現象が影響しているからです。GBJの皆さんはこの現象を周知していると思います。ビル、屋根、樹木の不足、コンクリート、舗装、アスファルトなどが原因で都市を熱くし、さらに温暖にしています。猛暑はどんな気象災害よりも高い死亡原因になります。私もこの事実に驚愕しました。台風、洪水のような災害が高い死亡率が生じると思っていたからです。実際は他の気象災害の何よりも熱、暑さによってさらなる死を招くのです。

 

日建設計がこのクールツリーを4年前に開発しました。最初に私が日建設計に参加した時ですが、コンペティションに近いID200開催されて、あるチームがこの案を出しまた。移動式モダンクールスポットです。2020年開催の五輪に関して政府や大学では暑さ対策を懸念していました。これは傘の下に入るとミストが噴射され冷却が可能です。付属のベンチは冷却されています。単純な電機システムが内蔵され冷却を可能にしています。ゼロエネルギーで1日で組み立て、解体が可能です。再生可能、再利用可能です。三層になっているラミネート加工の木材がピン留めされています。重量はありますが、大人ふたりで運搬可能です。ミストシステムは自動制御で日陰でしか噴射されません。太陽熱の元では噴射されません。太陽の動きに合わせてシェードとミストが連動します。これは2017年ごろにプロトタイプを制作している映像です。これは日建設計のロビーです。年に3,4回見学者が訪れます。今はオフィスの外に設置しています。

 

土地利用

土地利用に関しては様々な手法があります。米国は寄付文化があります。多くの米国人が収入の5から10パーセントを毎年どこかに寄付します。環境保護基金、森林保護に寄付する人が多いです。環境保護は一般的な寄付対象です。寄付はしなくても土地があればそこに植樹をすることでも貢献はできます。植樹をすることや植樹をしている人を支援することを考えてください。そういう支援をしている企業と付き合うことも大切です。日建設計は住友林業から森林管理に関して学んでいます。森林保護をする、植樹することで二酸化炭素排出を隔離貯留することが可能です。ドローンを使って山側に植樹をすることが技術的に可能になっています。木が寿命で枯れてしまった場所に植樹ができます。技術とサステイナブルな慣行が一体となり良い方向に進むのは素晴らしいと思います。

湿地はとても興味深い場所です。私が若い頃はメキシコなどでは、こういった湿地は埋め立てられてその上にビーチサイドホテルが建築されていました。今は世界中で湿地は保護されています。湿地は炭素を貯留することが可能です。湿地の土壌は同じ面積の森林の5倍の炭素を貯留できます。この数値を見ると貯留量はあまり多くありませんが湿地はとても重要です。相当な炭素を貯留できます。水も浄化します。湿地は自然の水ろ過装置です。

 

v6.

個人的戦略

冒頭で食物の話に後程触れると言いました。この戦略は植物由来の食事に変えることです。数値に注目してください。360億トンの二酸化炭素排出を思い出してください。この数値の大きさを見てください。植物由来の食生活に変えることでこの数値が達成できます。私は菜食主義者ではありませんが、米国にいた時より日本では肉を食べる量が格段に減りました。

私の上の子供たち二人は11歳、9歳の時に完璧な菜食主義者になりました。この歳から一切の肉を一度も口にしていません。家族全員が肉を全く食べないわけではありませんが菜食中心に食生活が変わっています。それが環境を良くすることに繋がっています。大きな影響力を生み出します。

音楽的関連性がこの写真をみてわかる人はいますでしょうか?自分で食料を育てよう、アミーゴ。これは今年、私が植えた種たちです。毎年ベランダで野菜やハーブを育てています。簡単にできる少しの量ですが皆さんにもお勧めしたいです。世界を変えるような偉業ではありませんが環境と皆さんを繋ぐ存在になると思います。

この写真もコロラド州ボルダーのものです。フードレスキュー(食品救済)プログラムを実施しています。フードレスキューは食品廃棄物です。多くの経済発展国が大量の食品廃棄をしています。食品の約30%が廃棄されています。この食料廃棄物を減らす戦略を実行することで870億トンから950億トンの二酸化炭素排出が減少されます。すべての食料廃棄物をなくすことを予測しての数値ではありません。徐々に削減して得られる数値です。各戦略の詳細をさらに知りたいという方はDROWDOWNのホームページを参照ください。どの戦略が大きな影響をもたらすか検証してみてください。この食料廃棄物を減らす戦略も大きな影響力があります。

 

テレプレゼンス

今日に適しているトピックだと思います。テレコミューティング、テレワーキング、テレプレゼンス、様々な呼称があります。電車や車での通勤をしないことは、二酸化炭素排出量を大きく削減するには至りませんが金銭的節約はでき、二酸化炭素排出量を減らすことも可能です。皆さん在宅ワークを経験されて快適さを知ったと思います。私は実際、快適です。日建設計に参加した当初から在宅ワークを推進してきました。もっと在宅ワークを最大限増やしても良いのではないかと。その必要性は?と聞かれ逆に聞きかえすの繰り返しでした。良い仕事をして課題をこなしていれば奄美大島のビーチで仕事をしても東京の家でも、オフィスで仕事をしても変わらないと思います。大切なのは仕事をする場所ではなく、質の高い良い仕事をすることです。家で仕事をすると金銭的な節約が多くできます。

 

これは私の得意分野です。プラスチック。本当にプラスチックが嫌いです。道にゴミを投げ捨てるような人間は最低だと教えられて育ちました。私の故郷ではゴミを道に投げ捨てるような人間は最低とみなされます。だからプラスチックは嫌いです。私も完璧ではなく、プラスチックの袋を買うこともあります。日本はプラスチックの袋はスーパーなどで有料だと認識しています。この戦略はバイオプラスチックです。バイオプラスチックは一般的に紙もしくは植物から作られています。二酸化炭素排出量削減数はあまり多くありませんが、最終的には多くの金銭的節約が可能になります。2020年にカールズバーグビールがバイオプラスチックの紙製ボトルを発表しました。まだ東京では見かけていませんが購入したいと思っています。最初に紙のストローをスターバックスで去年使いました。慣れない感覚はありましたがプラスチックのストローが嫌いなので良いアイディアだと思います。日本に来て最初に覚えた言葉はイラナイデス、カンキョウノタメです。

 

これはコカ・コーラのバイオプラスチックボトルです。徐々にですがプラスチックボトルを減らしています。即時ではありませんが将来的には全てバイオプラスチックボトルに切り替える計画です。バイオプラスチックは数年すると朽ちて土にかえります。プラスチックは種類にもよりますが何百、何千年と残ります。これはバイオプラスチック食器です。あまり見かけませんが。日本にもあるはずですが頻繁には見かけません。

これは米国でも日本でもスーパーで買い物をして出てくる人の典型的な姿です。コンビニいって、タバコなどの小物を買って小さなプラスチック袋に入れてもらい3メートルも歩かないうちにゴミ箱にその袋を捨てるタバコを出し吸い始める人がいますがあれは私にしたら悪夢です。そういうプラスチックゴミの90%は海洋ゴミになるからです。ほとんどのプラスチックゴミは、最後は海に行きます。意図して送り込むわけではありませんがそうなります。先週だされた最新の研究によるとプラスチックを呼吸から私たちは取り込んでいるそうです。プラスチックボトル入りの水にはマイクロプラスチックが混入しています。空気中にもマイクロプラスチックが浮遊してそれを吸い込んでいます。森林でも同様です。山の森に行ってもマイクロプラスチックを吸い込んでいるのです。二酸化炭素排出量にも影響するプラスチックの使用をやめるべきです。

 

これは私が使っている袋です。 次の戦略は電気自動車です。この写真の車はハイブリッド車ですが良い写真なので使います。ハイブリッドもしくは電気自動車にかえることで二酸化炭素排出量は多きく削減できます。ガソリン車よりも車輛価格は、現在は高い状況ですが、維持費は将来的に節約できます。

私は趣味を聞くのが好きで同僚によくたずねるのですが、ドライブが趣味という人が多いです。そういう人たちで電気自動車に乗っている人はまだ少ないです。

 

 

3.What we can do? (私たちにできることは?)

仕事を通して何か貢献できるか?

出来ることは自分が思っているより多いはずです。政府、ビジネス、市民社会で、市民社会は私たちの社会のことを指します。ビジネス、企業に関わる人も多いはずです。今日お話しした多くの戦略をビジネスで応用、導入することは可能だと思います。顧客に提案、推奨することも可能です。理由を聞かれたら環境に対する影響、気候変動について説明できるはずです。政府で仕事をしている人もいると思います。政府は二酸化炭素排出量削減に関して厳しい政策制約を課すべきだと思います。私たちのコミュニティにとって最良の解決策が見つけられるためにもそれが必要です。政府、ビジネス、市民社会の3つの一致団結が必要です。個人がベランダ菜園をするだけでは達成できません。手で数えられる顧客を説得するだけでは足りません。政府、グーグル、フェイスブック、アマゾンなどの大企業の参加が必要です。これらの大企業はすでに大規模な炭素、エネルギー対策はしていますが更に必要です。

 

これは約13年前に作ったスライドですがX軸が必要な資源の量を示しています。資源を消費するプロジェクトはサステイナブルではありません。生産製造したものよりも消費が多くなるからです。資源生産も同様です。エネルギーポジティブビルはサステイナブルの上位になります。カーボンニュートラル、ネットゼロエネルギーでもただ単にサステイナブルという評価です。再生、回復可能なリビングビル、カボーンネガティブ、エネルギーポジティブなビルこそが必要です。

 

『地球の最大の脅威は誰かが何とかしてくれるという考え方を抱くこと』自分が何もしなくても誰かがやってくれるという考え方は間違っています。皆さん私も含め、各自の自発的な行動にかかっています。実現したい理想の建築環境の未来へ向けた変化を推進しなければなりません。参加の皆さんに提供する資料がありますので参照ください。DRAWDAWNなどの重要な情報源が記載されています。
これが最後のスライドになりますが、現在、世界中が新型コロナウイルスに取りつかれ、様々な意味、側面で生き方の見直しを迫られている状況です。私も居酒屋で過ごす時間が恋しいです。新型コロナウイルス禍に端を発した景気後退に直面し、経済危機に陥っていますが気候変動は正直、これらの危機を凌駕する、飲み込む大津波のような存在です。今日のセミナーを通して皆さんが、生活や仕事上で正しい選択をし、どうしたら気候変動危機を回避し、良い影響を与えられるか考えるきっかけをつかんでくださったら幸いです。
ご清聴ありがとうございました。

 

 

本資料の著作権は、講演者の所属会社に帰属し、会社内部での無許可の配布は出来ないものとします。 法人会員などで活用する場合もGBJ事務局、講演者の許可が必要とします。

 

 

Q&A

 

Q1. p.5,6、P13,14,19、の写真は、それぞれオリジナルでしょうか? 出典を教えていただけるとありがたいです。

 

P5,P6は、Webサイト unslash.com のフリーの写真のサイトから引用している。
P15 P14は、World Economic Forum (世界経済フォーラム) から引用している。
P19 はDRAWDOWNから引用している。 どれも公開されている資料なので使用は可能。

 

Q2: p.17の図では、36ギガトン(以上)のCO2排出量は2017年のものでした。2019年の数値がおわかりでしたらご教示ください。

 

2019のデータは 手元にはないので、調査しないと分からない。

 

Q3:最高14%, 平均8%という数字が出てきましたが、空調機のエネルギー効率のことですか?

 

空調機のエネルギー効率のことで、14%は理論効率(最大効率)、平均的な住宅のエアコンの(実績)効率:8%を示します。  

 

Q4:太陽光発電は効率のわりにパネルや生産過程、緑地を開発する過程で環境負荷が大きいと言われているが、本当に良い環境だと考えますか?

 

とても良い質問です。質問してくれてありがとう。
A new embodied energy calculator(建築物の建設に伴うエネルギーの計算ツール)があるので建築用材料について調べることができます(スライド最後にURLを紹介)。 太陽光発電などの再生エネルギーにおける、製造過程にて使用するエネルギーを語るのであれば、セメント、鉄鋼、あるいは原発などにおける製造過程のエネルギーについても比較し議論すべきである。
10年前、マレーシアの2つの代表的な太陽光パネル製造工場の計画に参加したことがあるが、クリーンルーム環境用にも太陽光用パネルの為のスペースであれば良い。今後も、太陽光発電の効率の良いものを導入し、太陽光発電の否定的な面にばかり注目しないで、可能性としての省エネに注目してほしい。

 

Q5.紹介されたソリューションとは別に、 内装・インテリアデザインによる方策もありますか? また、そのインパクトの大きさも、もしご存知でしたらご教示いただきたいです。

 

そうですね、インテリアに関して家具やカーペットや壁材などに毒性(VOCのことを指すと思われます)のある材料を使わないことが健康な室内環境のために必要だと思います。

 

Q6.水素エネルギーの活用、および蓄電池の活用についてご意見をお聞かせください。

 

水素エネルギーは住居への適用が可能で、日本政府も積極的に推進しています。バッテリーシステムは重要で、容量が上がってきました。車のバッテリーも容量が上がり、住宅に使うことができれば可能性があるのではないか。なによりも原発よりもずっと早く、安価で、安全である。

 

Q7.森林資源は守るだけでなく、使うことも重要と思います。森林がバイオマス燃料として使用される点についてはいかがお考えですか?うまく利用できている事例があれば教えてください。(ちなみに、日本の森林の98%が人工林というのはちょっとデータが違うのではないかと思いました。)

 

バイオマス燃料をもっと使うべきです。使われない木はもっとバイオマスに使うべき。
また、日本では食品ごみはほとんどが焼却されているが、これもバイオマスに使うべき。
化石燃料を輸入して発電するのでなく、日本の森林資源はもっとバイオマスやエネルギー資源に使えると思う。ドイツの7倍の、太陽光、風力、パイオマスなどの再生可能エネルギーのポテンシャルを持っている。

 

Q8:Embodied energy calculatorのサイトを教えていただけますか?

 

講演資料のPDF(配布用)の最後のページにサイトのリンク情報を掲載しています。

 

 

KEY RESOURCES


DRAWDOWN
https://drawdown.org

 

Living Building Challenge (ILFI)
https://living-future.org/lbc/

 

The Next frontier of Carbon Accounting
https://rmi.org/insieht/the-next-frontier-of-carbon-accounting

 

Embodied Carbon in Construction Calculator (EC3 Tool)
https://www.buildingtransparency.org/en/

 

Climate change impact assessments
https://www.fs.usda.gov/ccrc/topics/impact-assessments

 

A letter from the pandemic: 3 min. video

https://www.youtube.com/watch?v=2cEXfJc6_d0&t=10s

 

DOES NUCLEAR POWER SLOW or SPEED CLIMATE CHANGE?
https://www.forbes.com/sites/amorylovins/2019/11/18/does-nuclear-power-slow-or-speed-climate-change/#25ea32ae506b

 

JAPAN RACES TO BUILD NEW COAL-BURNING POWER PLANTS, DESPITE THE CLIMATE RISKS
https://www.nytimes.com/2020/02/03/climate/japan-coal-fukushima.html

 

WHY PLASTICS ARE ALSO A CLIMATE ISSUE
https://www.greenbiz.com/article/why-plastics-are-also-climate-issue

 

PLASTIC WASTE ART+DATA (click on image and watch zoomed picture)
http://www.chrisjordan.com/gallery/rtn2/#t-rex

 

 

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