Hirooka Terrace GBJ LEED認証プロジェクトインタビュー

 

プロジェクト概要


プロジェクト名:Hirooka Terrace
都市:金沢
認証システム:LEED BD+C New Construction v4
認証取得日:2025年11月5日
認証レベル:Gold

インタビューを受けた人:西村 夏海 株式会社CCIグループ

                  経営企画部ファシリティグループ

インタビューした人:  宮本 順子 GBJ運営委員

 

宮本:LEED ゴールド認証を取得された「Hirooka Terrace」について、建物の概要を教えていただけますか。

 

西村:「Hirooka Terrace」は、金沢駅から徒歩4分の場所に位置する、北國銀行本店に隣接したテナントオフィスビルです。本施設は、単なるオフィスビルではなく、「地域のにぎわい創出拠点」として、人と人、企業と企業が自然に交流し、新たな価値を生み出す場となることを目指しています。

建物としては、半屋外テラスなどを通じて内外が緩やかにつながる空間構成とし、快適性と環境性能の両立を図っています。 さらに、省エネルギー性能の向上や再生可能エネルギーの導入に加え、地域素材の活用や空間デザインを通じて、サステナビリティと地域性を融合したオフィスビルとなっています。

 

宮本:銀行とオフィスビルの併設は珍しいと思いますが、CCIグループとしてこのような素敵なオフィスビルを建てようと思った理由やきっかけはありましたか。

 

西村:金沢では、北陸新幹線の開業を機に人の往来が活発になり、街全体の魅力や活気も高まっていると感じています。そうした変化の中で、建物に求められる役割も大きく変わってきました。にぎわいづくりという地域からの期待もあり、グループ会社の入居だけでなく、従来の銀行のイメージにとらわれない、人や企業、地域が自然につながる新しい拠点をつくりたいと考えました。

共用部の充実をはじめ、多様な働き方や利用ニーズに応えられる空間づくりについて、関係者の皆さまと知恵を出し合いながら検討を重ね、現在のHirookaTerraceが生まれました。

 

宮本:屋外テラス、半屋外テラスにお邪魔しましたが、自然環境を直に体験でき、オフィスで働く皆さんを癒していることが実感できました。「Hirooka Terrace」にて、LEED認証取得を目指された理由を教えていただけますか。

 

西村:LEED認証取得の背景には、単なる「環境に配慮した施設整備」にとどまらず、当社のサステナビリティ経営を対外的に示すという意図がありました。

LEEDは、環境・健康・経済・社会といった複数の観点から建物の価値を評価する国際的な認証制度です。Hirooka Terraceでは、地域金融機関が地域で保有・運営するビルとして、「サステナブル建築の新たなモデル」を示すことを重視しました。北國銀行の店舗ではZEB認証を取得していますが、社内でもLEEDやWELLといったグローバル基準の認証は対外的なPR効果が高く、投資家やテナントへの訴求力向上にもつながると考え、取得を目指しました。

単なるスペックの追求ではなく、「地域における価値創造の基盤」として認証を活用した点が特徴です。

また、Hirooka Terraceの施工に携わっていただいた施工者の方々にも、北陸ではまだ珍しいLEED認証で求められる要件や技術に触れていただくことで、地域全体への貢献にもつながると考えました。

 

Photo of Natsumi Nishimura

 

宮本:おっしゃる通りですね。近年は機関投資家だけでなく個人投資家でもESG志向が強まっており、環境性能を「見える化」できる指標としてグリーンビルディング認証の重要性が高まっていますね。環境性能の評価がわかりやすいLEEDですが、苦労する点もあったと思います。LEED認証取得のために特に検討した点や苦労した点があれば教えていただけますでしょうか。

 

西村:最も大きなテーマは、「快適性と省エネのバランス」でした。省エネを追求するあまり快適性が損なわれないよう、設計段階から丁寧に検討を重ねました。

また、認証取得にあたっては、設計者・施工者・施主を含むプロジェクトメンバーが共通の目標を持ち、一体となって取り組む必要がありました。そのため、関係者全体でキックオフMTを開催するなど、合意形成にも注力しました。

その結果、施設の品質向上はもちろん、関係者にとっても貴重な知見や経験の蓄積につながったと感じています。 個人的には、英語でのやり取りや海外由来の考え方への理解に苦労する場面もありましたが、LEEDコンサルタントであるヴォンエルフ様のご支援により乗り越えることができ、大変感謝しています。

 

宮本:「快適性と省エネのバランス」は、どちらかが犠牲になってはいけない、という永遠のテーマのように思います。その点、HirookaTerraceでは井水を利用した空調を採用されており、利用者の方にもわかりやすい「節電」であるとともに電力を浪費している罪悪感も払拭するというウェルビーイングへの貢献もされているように思いました。

 

井水空調システム

 

宮本:オンサイトでの太陽光発電を積極的に採用されたとお聞きしています。特徴と効果について教えていただけますか。

 

西村:Hirooka Terraceでは、再生可能エネルギーの創出を最大化するため、太陽光発電を積極的に導入しています。屋上だけでなく、庇や駐車場の屋根にも設置している点が特徴で、発電量の最大化と、来訪者に対する環境配慮の「見える化」を同時に実現しています。

こうした再エネ活用は、エネルギーコストの抑制やCO₂排出量の削減にも寄与しています。単に設備を導入するのではなく、建物のデザインと一体化させている点が大きな特徴です。 Hirooka TerraceはNearly ZEB も取得しましたが、延床20,000㎡超の高層テナントオフィスビルでは全国初となり、関係各所からご注目いただきました。

 

宮本:テナント様からのコメント等あれば教えていただきたいです。

 

西村:テナント様からは、単なる設備性能にとどまらず、「働く環境としての質の高さ」に対して高い評価をいただいています。例えば、交流空間の充実による企業間のつながり、環境配慮型オフィスで働くことへの共感、金沢駅からのアクセスの良さといった点です。また、サステナビリティに取り組む企業にとっては、自社の価値観との親和性が高いという声も多く、企業価値の向上にもつながっていると認識しています。

単なる賃貸オフィスではなく、「価値を共創する場」として評価いただいていることが特徴です。

 

宮本:装飾だけでなく天井材や什器に石川県産の木材を使用されているということで、温かみプラス地域特性を出しているところも過ごしやすさの要因だと感じました。

 

 

 

宮本:「Hirooka Terrace」ではWELL Equity Rating認証も取得したとおうかがいしました。LEED認証との親和性や、両方取得したことによるメリットがあればお知らせください。

 

西村:LEEDが「環境性能」を評価するのに対し、WELLは「人の健康やウェルビーイング」を評価する認証です。当社では、両者を組み合わせることで、「環境」と「人」の双方を大切にした施設価値の実現を目指しました。

WELL Equity Ratingでは、建物だけでなく、人事制度や働き方、空間設計まで含めて評価されます。制度の有無だけでなく、それが実際に機能しているか、運用できるかも重視される点が特徴です。従来の安全対策中心の認証にとどまらず、「人に投資する評価(DEI・健康経営)」へと発展させる意図から、WELL Equity Ratingを選択しました。

LEEDとWELLの両認証を取得したことは、当社にとって、大きな自信にもつながりました。今後はこの認証取得を糧に、環境と人の双方を大切にする姿勢をより一層追求し、テナント誘致力の強化はもちろん、サステナブル建築の新たなモデルとして、地域とともに持続可能な社会の実現に貢献してまいります。この取り組みが、次世代へと受け継がれるまちづくりの一助となることを願っています。

 

宮本:素敵すぎる共用部に、「うらやましい」の声しか出ませんでした。いまはどこからでもリモートで仕事ができる時代になり、働く環境は人それぞれ。自分と地球が心地よいオフィス空間を選んで働きたいと思いました。

本日は素敵な空間と貴重なお話ありがとうございました。

 

 

※英語版は準備中

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