第72回セミナー[資料] 不動産ESG投資～建築での対策はどうESG投資に反映される？～

第72回GBJセミナー &lt;募集時セミナー案内はこちら&gt; 不動産ESG投資 ～建築での対策はどうESG投資に反映される？～ 2023年1月18日 会場＋オンライン 講師：古賀 喜郎 東急不動産ホールディングス株式会社 小林 英樹 三菱地所株式会社 丹羽 勝巳 株式会社日建設計 司会：高木 智子 CSRデザイン環境投資顧問株式会社 1. 高木 智子 CSRデザイン環境投資顧問株式会社 2. 丹羽 勝巳 株式会社日建設計 3. 古賀 喜郎 東急不動産ホールディングス株式会社 4. 小林 英樹 三菱地所株式会社 会員向けにセミナー内容を公開しています。ログインしてご覧ください。 ここからは会員のみに表示されています。 5. Q&amp;A Q1. 設計会社として、クライアントの期待は変化しているか？ またESG評価でもっと評価してほしい点などはあるか？ 【丹羽】 クライアントとの打合せのテーマすら変わりつつあると感じている。どの認証を取ればよいのかなどは、クライアントがかなり詳しい場合もあり、こちらでも一生懸命調べたりしている。 何を評価してほしいかについては、評価で求められる内容のハードルがこれからさらに上がっていくと思われるが、プレゼンで示したように（「環境品質」といった）建築のポジティブ面についても定量化が進んでいくので、それらもぜひ見てほしいと思っている。 Q2. ディベロッパーとして、テナントからのESGに関する期待値や反応はどうか？ 【古賀】 テナントの反応の面では、以前は外資系企業からのESG取組みやデューディリジェンスに関する要望が多かったが、今では国内企業でも、環境認証、環境取組み、再エネなど含め関心が高まっていると感じる。特に、脱炭素・再エネに興味を持たれる例は多く、RE100を実践しているテナント企業から協働を提案されることもある。 【小林】 テナントの雰囲気は変わってきた。外資系は早くから入居時のチェックシートで取組みを聞いてくるなどがあったが、国内企業からも積極的な例が増えた。以前には考えられなかったが、最近では我々（ESG担当）がテナント候補企業とのビルの内見などに同席し、ESGの取組みや再エネについて説明する機会が出てきた。それが賃料増加に直接影響するかは分からないが、ひとつ言えるのは、テナント候補企業が複数のオフィスを比べるなかで、ESGや再エネが決め手の1つになるケースが出てきている。 また、金融機関のスタンスも変わってきた。サステナブルファイナンスはやると多少有利なのではないかと思う。例えばローンの検討をする際、通常のものの時とグリーンなものの時とで打合せの席での金融機関側のトーンも違うように感じている。 Q3. 脱炭素を進める上で、計画の初期段階での検討が重要だが、精度の良い数値を早期に把握することは難しい。日建設計さんの「概炭ツール」や三菱地所さんのBEI値を初期に把握して低減する例などを共有いただいた。BEI値は目標設定はできるものの、実際の設計では詳細が決まらない中でどうすれば目標値を実現できるのか、なかなかに難しい課題だと思う。可能であれば活用状況を教えてほしい。また、海外ではデザインコンペにおいて、案はよいがLCA値が思わしくないために落とされるケースもあると聞くが、LCA値の算出根拠が公的なものでない状況では比較しづらいだろう。そのあたり、今後JSBC中心にしてなど、どのように進むのかをうかがいたい。 【丹羽】 LCAについて共通ルールを求める声は多く、またグローバルにみても日本の遅れが指摘されており、国（JSBC）のゼロカーボンビル推進会議の場などで急ピッチで議論が始まっている。これまでも様々な独自の計算方法が出ていたが、業界のルール、あるいは国のルールにしていく目処がここ数カ月でようやく立ってきた状況。 「概炭ツール」は、概算コストを弾くのと同じで、過去事例の経験を踏まえたデータベースを使っているもの。BEI値も、以前は基準値をクリアすれば良かったが、今はそれだけではなく、ある程度モノサシになることが分かってきた。色々な事例が蓄積され、目処・目安が立ちやすくなってきたので、それらを次の設計に活かせるよう試みている。 【小林】 BEI値によるのはBELSとZEBだが、経験上、ZEBは改修と新築とで分けて考えるべきだと思う。まず改修について、傘下のリート（ジャパンリアルエステイト投資法人 [JRE] ）で取り組んだ当時（2019～2020年頃）は設計のノウハウがなかった。大型物件はZEB化困難な一方、中小のビルであれば条件が整えばうまく行くかもしれない、ということで検討し、築年がそれなりに経っていて、大改修（特に空調改修）との合わせ技で検討するとうまく行きやすいことが分かってきた。JREでは既に改修でのZEBを２棟ほど手掛け、グループとして設計のノウハウが得られてきている。新築プロジェクトにおいては、BEI値が実施設計段階でわかってくるのでは遅く、事業実施可否の判定時に決めたい。早期段階から技術者が入り、傾向・対策を蓄積して早めの判断ができるように取り組んでいる。（プレゼンでお話した）インセンティブ制度の設定により多くの物件が手を挙げてくれ、スタディできているのが強みだと思う。 以上